しきりに仕切る大きくなった鴨 がいつものように道路を横断して、それを見守る常連の顔ぶれも覚えた。仕切りたがっている初老の女性がいる。生き甲斐になっているのであろう。必ずといっていいほど見る。緑道を遮る車道に鴨が出る際は両手を大きく広げて往来を止める、そんな彼女の顔はどことなく車に似ていた。どこがどうという説明はつかないのだが、車を髣髴とさせる。その目はしきりに瞬きして、まるでハザードを焚いているかのようだ。飽きない要素は至るところにある。