フレデリックの独白から物語は始まる。弁護士の仕事は順調で、勝ち組然とした中産階級以上の典型的フランス人というか、刷り込まれたイメージそのままの人間による女性論が延々と続く。鼻につく講釈とくだらない妄想の後、旧友の元恋人クロエが彼の前に現れた。
美しい妻のエレーヌと娘のアリアーヌに加えて息子のアレクサンドルも生まれた。郊外に家を構え、住み込みの家政婦を雇い、フレデリックの家庭には不満がないように見える。クロエは頻繁に彼の事務所に顔を出し、最初は疎ましく感じつつも次第に生活の一部へとなっていった。敬遠しているとつきまとい、欲すると離れる彼女は魔性の女を地で行く。
アリアーヌもクロエも異様に細い。背中のラインには、指でつまめるのではないかと錯覚する。アリアーヌへの貞操か、クロエへの欲望か、フレデリックの葛藤がエリック・ロメール6つの教訓話の最後を締める。徳利セーターの襟口を頭で留めて、彼の心に去来するものは。そいえばジャミラは元フランス人の宇宙飛行士だった。