下北沢 に置いたびあんち号に誰かが手をかけている。舌打ち一つ、足を速めて絡もうとしたが、隣の自転車が彼女の愛車のようで、移動させているだけだった。「この自転車、軽いわ」と友人らしき人に言っていて後ろから近づきつつ僕は誇らしげ。「どうも」にこやかに声をかけて彼女は驚いていた。「すみません、ちょっとどかそうと思って」「いえいえ、こちらこそすみません」と滅多なことでは怒りません然とした柔和な顔をする。「いい自転車ですね」と言われた日にはますます穏やかになり「一張羅ですから」と答えた。そろそろメンテナンスに出そう。