愛妻日記 重松清の6編の短編官能小説を2本ずつその1週目。セックスに陰りが見える夫婦が愛の形を変える。

小林政広やいまおかしんじを脚本家として従えていたピンク四天王の一人サトウトシキはさすが、「愛妻日記」の濡れ場は生粋のアダルトビデオを凌駕した。自分を小心者で何も取り得がないという小田は、子供ができにくいことを知らされて妻との今後の生活が心配になる。そんな彼を見て妻はおもちゃの手錠を彼の目につくところに置いた。下半身に直接的な描写がめくるめく、スカトロや露出にまで至り恥辱のプレイが続いた。唯一無二の存在であるために性を呼び起こす。部屋には仲睦まじい二人の写真が飾ってあった。

「独立少年合唱団」「いつか読書する日」の監督として緒方明は少なくとも僕の中では名高く、現役の日本人監督では個人的に3本の指に入る。そして「饗宴」もまた傑作だった。妻の恭子を性的対象として不満を感じ始めた雅之は、恩師に告白するためキーボードを叩く。学生時代の記憶と現在を照らし合わせ、愛の証は肉体だけに留まらないものだと捉えた。雅之はオナホールを、恭子はバイブレータを持ってダブルベッドに並び自慰をする。乳首吸引の道具をつけた杉本哲太の笑えること。彼は恩師の妻との情事を思い出していた。目隠しをされ、馬乗りされ、相手が腰を振るたびに目を覆ったタオルがずれる。そこから覗き見た光景が、彼に衝撃を与えた。恩師の妻はあえぎながら手を伸ばし、その手の先には恩師の手があった。愛妻家として知られた恩師の愛を見てた雅之にとって、今、自分がしている行為は正当化され得るものだった。学校でレスリングを教える雅之が、教え子を家に呼ぶ。恭子が教え子を迎える。余韻を残してそこで終わるかと思いきや追伸があり、はじめ蛇足ではないかと思ったが、見事なオチにつながった。

両方とも画質が悪すぎる。予算の都合上、仕方のなかったことなのだろう。糞と変わらない程度の映画に大金をつぎ込んでいる現状が悲しまれる。