のべ20年は埼玉に住んだ。埼玉県民憩いの場・池袋は落ち着く。渋谷が近くなった今、だんだんと居心地が良くなっている。悪意に満ちて、悪臭が漂い、悪人がはびこる繁華街は、外国人も多いが、同じ日本人でも人種が違うような様々の人間がいて、基本的に誰も他人に興味がない。これだけ全てが手に入る場所で、奇行をしても誰の記憶にもとどまらない。その時、好奇の目で見られたとしても、その夜の食卓の会話にものぼらない。自分の部屋と大差ない。ゆえに僕は喧騒に居場所を見出した。

歌舞伎町を舞台にボーダレス。無国籍こそがニュートラルだと思う。

すぎむら しんいち, リチャード・ウー
ディアスポリス-異邦警察 1