女子高生54人が駅のプラットホームから一斉自殺するアイデアは見事だ。園子温監督自身にとっても新作「紀子の食卓」でもストーリーを絡める辺り、会心の発想と捉えていると思われる。ホームの端に女子高生が手を繋いで並び、電車が来る際に飛び降り、血しぶきが飛ぶ映像が冒頭。掴みとしてはこれ以上ない。
学校の違う、様々な制服が犠牲となり、事故なのか事件なのかで警察は割れる。それに端を発して各地で次々と自殺が起こり、黒田ら刑事たちは首謀者を探した。黒田の息子をはじめ若者に絶大な人気を誇るアイドルグループDESERTは10台前半の低年齢で、CMや歌番組などテレビの露出が多く、その他にも街の看板やポスターなど、至るところでその映像が挿入される。黒田が奇妙なサイトを見つけ、管理者にコンタクトをとったところ電話がかかってきた。その声から判断して子供が群れを成して何かを画策している。「あなたとあなたの関係は」と問い詰め、自分の存在から揺さぶりをかけた。
製作年が2001年ということはインターネットの普及もある程度になり、ネット犯罪もめずらしくはない。理解しづらい新世代の子供による事件も少なくはない。しかしまだ不明瞭な部分が大きいものに対して、毅然として生きられない人間は恐れおののく。そこに恐怖はないが、何かと心を折られやすいのは危ういと自覚した。