クルシメさん ユキは自分が大事に思う気持ちが強いほどその人を傷つけたい衝動に駆られる。それが原因で職場の人間関係は悪くなり、かつて彼女と仲が良かったが、彼女の病により怒りを買い、いじめを受けている。カズエは舌の先が割れているという奇妙な体質を持っている。ユキのいる職場に入ってきた彼女は悩みを分かつよう近づいた。

精神を病むユキと肉体を病むカズエ。視点は二人を行き来して、立場もしばしば逆転する。メンタル・カズエは共感を得ることに喜びを感じたが、メンタル・ユキは親しみが過ぎることを恐れた。そこに職場の男との恋も絡み、関係は次第に悪くなっていく。

最近の作品には出演していないが、井口昇の監督作には唯野未歩子と新井亜樹をよく見る。放屁や脱糞など難題を与えられ、それをこなす二人は据わっている。

触れられたくない、最もこたえる言葉をぶつけられことは暴力にも勝り得る。見た目の美醜は性格の形成に大きく影響する。コンプレックスに焦点を合わせ、セリフや動きはコメディが根底にあり、井口監督とはどうも波長が合う。と、勝手に思っている。マイナスをプラスに転じることがユーモアである。