歯科通いは終わりが見えず、彼女たちとも
打ち解けつつある。繁盛しているようで次の予約まで大抵10日以上も開いてしまうのだが、前もって2回分の予約をするという術も身につけた。
今回はさほど痛みを伴わず、揚々と待合室に戻ると、ラテン・アメリカ系の男が二人いた。母国語で何やら楽しそうに話していて、診療室から出てきた僕を一瞥だけして、また会話にいそしむ。彼らの声はよく通ったが、ふと、互いに顔を近づけてささやくようになった。ひそひそと喋られたとしても、僕はその言語を理解できないのに。密談が終わるとまた声を張るようになった。