旅に出る前は常に「地球の歩き方」を買っていた。海外で同じような日本人バックパッカーに出会うと、その7割方が同じ黄色い本を手に持ち、どうも恥ずかしくなってやめる。「Lonely Planet」に切り替えた。しかし途中でこれはヨーロッパ人旅行者の8割方が持っていることに気づく。ガイドブックの代わりに旅行記を携帯してみるのも手だ。

スペインは学生の頃、マドリッドから南下し、グラナダなどアンダルシア地方を、そこから海沿いにバルセロナへ向かった。生ハムサンドは経験した旅での忘れらない味の一つである。ワインもよく飲んだ。バルには毎日行った。そしてフランスに。バスクなど北部は足を踏み入れず、サンティアゴ巡礼路は存在すら知らなかった。そこでの出会いがあり、苦楽を共にすることの素晴らしきかな。人生を謳歌するスパニッシュだからこそ、過酷な巡礼が発達して栄えたように思う。

安田 知子
ぶらりあるき サンティアゴ巡礼の道