1本道は500メートルほど、舗装されているが他のどの道とも交わっておらず、その存在意義は皆無だった。フェンスをよじ登ってその道を歩く。逆サイドは川。使われていないから雑草は人の足に踏まれない。モルタルの合間を縫って力強い。
カンボジアのアンコールワット遺跡を思い出す。古い建造物が自然に凌駕される様をだぶらせた。この道はできてまだ10年か20年程度だと思う。茎の太い草で覆いつくされるまで、そう遅くなさそうだ。
隣でカラス
が鳴いている。両端には何もないここを歩いていると、カラスは飛んで先回りする。奴らもまた強い生命力。