曽我部恵一がステージに立っていることに気づかなかった。太っていたのだ。音合わせをして、円陣を組んで、やっと存在を知る。彼ら自身が音楽を楽しんでいて、それが伝染する。5歳になるという、おそらく溺愛しているだろう彼の愛娘が作った歌を歌った。その詩は、もちろん彼の手が加えていられると思われるが、ストレートかつウィットに富む。“テレフォン・ラブ”でオーディエンスをあおって合唱、一体感がすがすがしい。
キセルの1曲目“ベガ”は、彼らの中で僕が最も好きな曲の1つで、個人的にこれ以上はないすべり出し。ステージ真ん中にいるなで肩の男に見覚えがあると思ったらエマーソン北村だった。カバー“鮪に鰯”で締める。辻村兄弟の声に高田渡の歌がはまるとは。浮遊感が漂う。30分が短く、ワンマンも行こうか知らん。