四畳半襖の裏張り 女衒が暗躍して街が色。若い女郎は軍人とねんごろになり、夫婦の契りを交わした。年増の女郎は馴染みの客が来なくなった。新米の女郎は下働きをしながら芸を磨く。大正の米騒動の頃、彼女たちの日常を描きながら、中年の遊び人・信介と女郎・袖子の初夜がカットバックで入る。蚊帳の中は長い夜が続き、その部屋の外では動乱の日々が流れて、濡れ場のしつこさは二人の汗となって表れた。

女の恥じらいに男の征服欲がかき立てられる。初見で舐めるように袖子を品定めした信介は、布団をはがして灯りも消そうとしない。最初は嫌がり、いざ夜が始まっても演技で手篭めにしようとする袖子だったが、信介の激しい技に我を忘れていく。結局は明るみの下で枕が外れたことに気づかないほど乱れ、着物ははだけて全てを晒し、何度も絶頂に達した。至るところで男女の攻防がおこなわれる。

永井荷風の原作を神代辰巳が映画化。なみおか映画祭が神代特集を組んだことで補助金打ち切りとなった時でさえ、僕の知識は“かみしろ”と読んだほどのものだった。偉大なエロティシズムと共にセックスの普遍性も確認する。