ノザワランド 野沢4-4-11
野天風呂と露天風呂の違いが分からない。それはどうでもいいとして、ここの自慢である野天風呂は、見上げると煙突しか見えなかった。しかし屋外はマイナスイオンも倍増である。風呂は気泡やバイブラなど一通り揃っていて、野天も相まって繁盛していた。
銭湯にサウナ設備があると、たとえ料金が高くて入らないとしても、大体において水風呂があるので嬉しい。どれだけ心臓に負担がかかるか、どれだけの長湯でのぼせるか、試すことで健康状態をはかる。
歯を磨きながら野天に目をやると、引き締まった体の中年男性が縁台で腕立て伏せをしていた。少し禿げ上がった頭ときゅっと盛り上がった尻がリズミカルに見えたり消えたりしている。その彼と入れ替わりで野天風呂に入った。しばらく浸かって体を温めてから、縁台で寝転んだ。風が冷たく、体温は急速に下がるが、それでも充分に体は火照っていて心地良い。眠くなる。
子供の声で目を覚ました。傷もしわも無縁の汚れなき子。はしゃぐ息子に、目を細めながら父親らしき男性は、水しぶきが他の客にかからないよう優しく手を添える。僕に子供ができて、風呂のある家に住めたとしても、定期的に銭湯へ連れて行こう。そう思った。