墓地を散策した。親族の墓参りなど面倒で3年以上もご無沙汰だが、関係のない様々な墓石を見比べるのはなかなか楽しい。辺り一面に骨粉が埋まっていると思うと、いや特に感慨深くはなかった。墓誌なるものを知った。埋まっている人間のことが書いてあるのだろう。墓石の横に置かれたその石版は、どうも新しいものが多い。最近の流行なのだろうか。昭和に亡くなった名前が一人だけでも、その石には光沢があった。冷たい風が吹きすさび、僕の前と後ろと右と左で卒塔婆がガタガタ鳴っている。読めない字が同士ぶつかり合っている。