夢を見た。それは悪夢にも似た。よく覚えていない。夢の中の自分はクリアでクレバー。泉のように言葉が溢れ出て、文章をしたためるとそれは非の打ち所がない、流れに淀みがない、しかしその記すという行為すら結局は夢であるがゆえ、意味もなく、読み返そうとしてもその活字はにじんで、ぼやけて、読み取れない。

モーリス・センダックの作品はそんな夢に近い。「かいじゅうたちのいるところ」「まよなかのだいどころ」「まどのそとのそのまたむこう」の3冊が家にあった。幼い頃、畏怖のような気持ちを抱きながら、側面全てに手垢がつくほど読んだイラストのキャラクターは3頭身から5頭身くらい。今にしてみればバランスが悪いように思えるが、子供の視点からは違和感がなく、世界と合致する。先日の夢、僕は空を飛び、怪獣に遭遇し、後は覚えていない。

「かいじゅうたちのいるところ」がスパイク・ジョーンズ監督、トム・ハンクス製作で映画化されるらしい。嬉しいような期待を裏切るような複雑な気持ち。

モーリス・センダック
かいじゅうたちのいるところ