トレーラーハウスの貧しい生活は、職に就くことの障害になっている。唯一の家族である母親はセックスとアルコールに依存している。そんな母を見ているからか、ロゼッタは自尊心が高かった。施しは受け取らず、生活保護も拒否する。彼女はまっとうな暮らしをしたいだけだった。笑うことは少ない。

リケという友人ができた。彼はおそらくロゼッタに好意を寄せている。食事を誘ってその際の微妙なBGMとそれに対する彼女の対応、その後はこぶしを握ってのぎこちないダンス。ロゼッタの性格を細かく表現した。湖の魚をとろうとして、リケは足を滑らせて溺れた。ロゼッタは助けることを躊躇する。友人や恋人よりも、優先順位として仕事が上だった。彼がいなくなればその後釜として職を手に入れられるとよぎる。結局助けたが、彼が仕事でちょろまかしていることを密告し、職を得る。しかし、そうまでして勝ち取った仕事を、ロゼッタはすぐに辞めた。彼女は抜け出せない。

まず視線を送る姿を映す。ロゼッタが何かを見て、仕草は微妙な変化をきたした。その変化を提示してから視線の先にあるもの、変化の原因となる事象を撮る。カメラはロゼッタに接近して彼女の人となりを、独自のリズムで捉えた。

ジャン・ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌが作るワッフルに当てはめる言葉は、しつこいがそれが端的であるがゆえに繰り返すと、武骨である。ロゼッタに未来を見出すのは僕、または受け手それぞれ次第だ。