陽は短くなり、寒さが増す。「サーフ・サイド・ハイスクール」を思い出した。湘南にある高校を舞台にした、阿部・永島・三田の高校生男子3人の愛と友情と笑いの物語。登場人物を深く掘り下げて、内面も克明に描く。コメディの要素が強いが、そこはかとなく醸し出される悲しさをまとっている。作品の内容に四季があるが、イメージとして秋のにおいがする。
容姿端麗のサーファーで女に苦労しない阿部は、頭が悪いが純粋な心を持つ。趣味人として主に一人で学校生活を送っていた永島は、阿部からサーフィンを学び始めた。東京から越してきた、独自の美学を貫く三田もまた阿部にサーフィンを習っている。趣向やスタイルは違えど、三者三様に友人を愛して思いやる。
作者の澤井健は、著作に「イオナ」「華族な人々」があり、最終回は大方の読者の期待を裏切る姿勢を崩さない。「サーフ・サイド・ハイスクール」に至っては未完。どれも哀傷がありながら、かなりのサディストとみた。
- 澤井 健
- サーフサイドハイスクール 5 (5)