元々はテレビ放映のために制作されたドキュメンタリーだが、劇場スクリーンにて公開されたのでこのカテゴリーに含んだ。森達也6作品を日替わりでレイトショー、つい先々月ぐらいにもアップリンクは氏の特集上映をやっていたような、しかも今日はご本人がゲストを交えてトークを行うこともあって超満員である。人気のほどがうかがえる。
テレビやラジオでタブーとされ、放送を禁じられた歌がある。なぜ禁止になったのかを問う。まず先日なくなられた高田渡さん、次いでなぎら健壱とフォークシンガーが登場し、洗礼を受けた彼らの放送禁止歌が流れた。名曲である。差別や放送上で好ましくない歌詞が含まれている、と、思われるだけで規制がかかる。規制をしているは誰なのかを突き詰めると、そこには実態がない。民放連やフジテレビの上役にインタビューをする。彼らの質問に答える姿は、チックが激しくて悲惨さが漂っていた。取材を終えて、森達也は制作スタッフにもカメラを向けた。若いスタッフは「憤りを感じます」と目を吊り上げる。「何に対して」「規制をしている人に」「それは誰」「…」彼は答えられない。
部落問題も語られた。それに触れた歌「竹田の子守唄」「手紙」も一時期は放送されなかったことに関して部落開放同盟に訪れる。有権者の主観によって結局は差別が助長されていた。家に赤い鳥が歌った「竹田の子守唄」のレコードがある。適当なビートを添えて、次の機会にでもクラブで流してみようか。
頭脳警察のPANTA氏と森監督のトークは盛り上がって、最後は時間がおしているようだった。主義を声に出している人間は一貫性があって、人生に対して真摯である。