みかとせいじゅん 第14回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でのプログラム、日本映画公募短編集を鑑賞した。4つの作品からコンペティションも実施される。

まずはゲイの同級生に恋した女子大生を描いた「五色」。ゲイだと知らずに恋心を抱いた彼女は、そうと知ってはじめは戸惑いを見せて偏見を持ち、謀らずも彼を傷つける。始まりとこれからが、握手という形でクローズアップした。

「みかとせいじゅん」は不器用な愛の表現しかできない男女を綴る。ろうあの女の子みかと付き合いながら、暴力が原因で別れた男に復縁を迫られるせいじゅん。20分足らずの作品にもかかわらず、人物像が明確だった。身勝手だが一途な愛を見せるみかに対して、その愛に応えず男とよりを戻そうとするせいじゅんの言動は悲劇でもある。テンポの良さとみかの無垢なキャラクターがコメディの要素で悲喜が交じる。

ミュージカル仕立ての「マチコのかたち」は、同じドレスを着た女性二人がレストランのトイレで遭遇し、親交を深めて愛のかたちを探る。猥雑で個性的なキャラクターが彩った。

「ヘテロ薬」はオムニバス形式で一貫性のある人情劇を展開した。レズビアンやゲイであることに思い悩む人々が、メジャーになれる薬を手にする。マイノリティの辛さを笑いに変換させる、ユーモア本来の姿があった。

上映後に監督のトークショーが催され、生の声を聞けたことが嬉しかったが、仕切りがグダグダで弛みが残念である。4作品は濃度の差が激しかった。「みかとせいじゅん」山岡大祐監督のコメント「ダブルのコミュニケーション障害」(だったかな)が印象に残り、膨らませた長編も見てみたい。