よく通る道沿いで、いつの間にか更地になっているところがあった。今となってはそこにあった建物がどんなものだったか全く思い出せない。ぽっかり空いた土地に哀愁を感じた。廃墟も然り。生活感が残っているか否か、しかしそこには人がいた。
全く僕とは無関係の代物なのに、なぜか虚無感が漂って少し寄り道をする。そして人を考えた。例えばずっとここ日本で暮らすとして、さらなる仮定で僕が生涯に出会う人間が10万人としても、総人口の0.1%にも満たないわけだ。まさしく無関係。それでも無関心を装えない。決して博愛主義でなく、ただ更地や廃墟に侘び寂びを感じる。そんなことをめぐらせていたら迷子になった。