階級社会が根強く残るイギリスにはさらに、北アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イングランドと4つの連合からなる。それぞれの文化や風習がある。スコットランドの労働者階級の若者の、もがきながらも抜け出せない姿が描かれる。
服役中の母親、姉とその小さな息子と家族で一つの家に住むことを願う少年リアム。キャラバン購入のために、小銭しか稼げないタバコ売りを辞めて犯罪に手を染めていく。彼の環境は厳しい。自分の父親ラブと恋人スタンが手を組んでドラッグを売りさばいている母ジーンは、スタンをかばって刑務所に入り、今もなお片棒を担がされている。冒頭、いびつな家庭環境を理解するのに時間を要した。スタンとラブに連れられてジーンに会いにいくリアムだが、彼らと心が通っていない。しかしラブとは血が繋がっているという。リアムはジーンにだけ愛しいものを見る眼差しを送る。
リアムが愛情を渇望するのに対し、姉シャンテルはジーンを許さない。リアムの相棒ピンボールは状況がもっとひどく、身寄りがない。二人で犯罪に手を染め、リアムがのし上がるのを尻目に、無能な彼は破滅の道を辿る。幸せを掴めない彼らを、無駄な演出を省いてカメラは淡々と捉えた。警察に終われる身となったリアムの16歳の誕生日、シャンテルから電話が入った。弟を案ずるジーンに、リアムは「バッテリーが切れそうだ」と言って電源を切る。バッテリーとは、夢に奔走した自分を指しているように思えてならなかった。