半壊アパート 近くの古びた社員寮と社宅が解体されている。先月くらいまで生活していたように思われ、仕事が早い。さっそく早朝潜入を敢行する。

僕はずっとアパート、マンション暮らしである。厳密に言えば、生まれて間もない頃は借家に住んでいたそうだが、全く記憶にない。半壊されたアパートから整然と並ぶコミューンが望む。この淀みのない直方体は、改めて見ると異様で不気味で怖さすら感じる。どのドアも鍵がかかっておらず、中にも入ることができた。子供がいる家もあっただろう。トイレやバスルームに貼られたくまのプーさんのシールがもの悲しい。

屋上に行くと給水塔にカラスがいた。仲間を呼んでいるらしく、そこにいる1匹が鳴くと群がってきた。テリトリーは荒らさないから。陽が長い季節の早朝が好きだ。