自転車にベルが付いてないので、通行人が道を妨げているときは常に声を出している。夜道を二人の女性が歩いていた。後姿だけだが、身なりから年齢を推して親子であろう。「すいません」と言ってもこちらに気づく様子が全くない。もう一度、今度はどちらかと言うと怒鳴る。肩をすくませてこちらを振り返り、慌てた素振りを見せる。道を譲ろうと二人ともがお互いのほうに寄ろうとして、結果的に交差して立ち位置が入れ替わっただけになっていた。突っ込もうかどうしようか、1秒くらい迷う。