
ストーリーは複雑な構成だった。トルコ政府が史実を未だに認めていないアルメニア人大量虐殺。それを体験しながら生き残った画家アシール・ゴーキーと、虐殺の目撃者であるアメリカ人宣教師クラレンス・アッシャーを綴った映画と、その制作に関わった人々のドラマが描かれている。劇中で撮影されている、そのもう1本の映画は、実際に起きた事件を被害者の子孫という立場から再現する。歴史を壮大に描くマクロな視点から、家族や友人など人々の機微を描くミクロな視点までを、シンクロさせながら見事に組み合わせていた。
マイノリティーが映画の持つ威力を存分に発揮している。そこから発信して訴えかけてくるものを、できる限り理解して受け止めたい。