ひびや製パン所 -18ページ目

小さな丸いたべものにできること

わたしの友だちに和菓子職人がいます。
3月11日に地震が起こって、
家に帰れないまま、次の日もいつものように和菓子を作ったそうです。
大変だったと思います。
そんなときに、お客さんにかけられた言葉
『ここのぼた餅を食べて落ち着きたい』
たべものを提供する者にとって、こんなにうれしい言葉ないと思います。

たべものが、人にできること
たべものを作る人が、人にできること

わたしにも、
『パンってすごいなぁ』と思ったエピソードがあります。
パンに興味を持った、明らかなきっかけ。

これからは、パンに嫌というほど関わるので、そのときの衝撃、感動を忘れちゃうかもしれません。
だから、忘れても、この地点に戻れるよう、メモです。

パン屋で販売のアルバイトをしてました。
店には常連のお客さんも沢山います。皆、ほぼ毎日来て、毎日同じ物を、同じ数買っていく。
お客さんの変化は、わたしの日々の変化も知らせてくれる。バロメーターのようでした。

毎朝、モーニングをたのむおじいちゃんが、ぱったりと来なくなりました。
1ヶ月が経ち、もしかすると、もしかしちゃったのかも。。。。。と思いはじめたある日、
おじいちゃんは、帰ってきました。
少し、小さく、なった気がしました。

いつもは、モーニングだけなのに、その日はそれと、小さなプチあんぱんを2個。

『めずらしいですね!』というと、
『そっちのは、包んでね。仏様にあげるからね。』



一瞬で、この一ヶ月の間に何があったのかわかりました。
大変だったろうな。気持ちの整理がついて、いらしてくれたのかな。。



『ここのあんぱんが、好きだったんだよ』



お仏壇に、うちのパンを供えてくれるなんて。

そのときに、パンってすごいなぁ。と思ったんですね。

パンは、手で包める形をしてる。
幸せが、目に見える形になったもの。

ケーキだって幸せだけど、手で包むと、よごれちゃう。

パンは、その点、どこへだって持っていける。
どこへだって、連れていってもらえる。

その連れてってもらった先で、そのパンは何をするのでしょう。
何をしてくれるのでしょう。


どきどき、わくわく


みてみたいのです。
小さな、丸いたべものにできる、たくさんのこと。


ひびや製パン所