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FJCネットワーク東京 公式ブログ

FJCとしての活躍を志す者たちが、利害関係のない、自由な立場で相手の考えを聞いたり、自分の考えを話したりする『議論の出来る場所』として機能させ、お互いに尊重し合い、交流を深めるサークルです。

2016年1月17日(日)は毎年恒例のタウンウォークを開催いたしました。

今回は、2015年10月にJR取手駅前に多世代市民の健康づくり交流拠点としてオープンされたばかりの取手ウェルネスプラザおよびキリンビール取手工場のユニバーサルデザイン性を検証しました。


介助式車いすに加えて、今回は電動車いすを初導入し、JR取手駅東口を出発。
第7回勉強会1

また、とりで障害者協働支援ネットワークの代表でもある染野様にもご参加をいただけたので、取手市内の電動車いすを利用しての問題点等もお話をいただきながらタウンウォークをおこなうことができました。


第7回勉強会2

まずは連絡通路を経由して、まずは取手駅西口にある多目的トイレの検証をしましたが、急勾配のスロープで横転の危険性も伴っています。
第7回勉強会3

扉は開けづらいほど重い鉄製でした。
第7回勉強会4

取手駅の常総線改札からホームまでの動線にはエレベーターがない環境となっていることから、車いすでエスカレーターの昇降ができる仕組みとなっており、今回は実際にその昇降を体験させていただくことになりました。
第7回勉強会8

エスカレーターの踏面3枚がフラットになった状態で昇降できます。
第7回勉強会7

ただし、駅員さんに声をかけなければ勝手に利用者だけでは利用することができず、他のエスカレーター利用客の足を止めてしまうことにもなり、気軽なく利用することができないことは確かなようです。
第7回勉強会6

また、黄色い転落防止の突起物を誤って踏んでしまったりすると、管理会社がメンテナンスに来るまでは一時的にエスカレーターが使えない状況になってしまうとのことです。
第7回勉強会9

JR取手駅から取手ウェルネスプラザまでの道のりでも、実際に障害をお持ちの方の所感を伺いながら検証しました。
第7回勉強会10

こちらのゲートに関しても、法的な観点を踏まえて検証もおこないました。
第7回勉強会11

ちなみにゲートの一番狭い部分で幅630mm。
第7回勉強会12

下部は1000mm以上ありました。
第7回勉強会13

そしていよいよ昨年10月にオープンされたばかりの取手ウェルネスプラザを検証いたします。
第7回勉強会14

正門から入り、インフォメーションボードは車いすでも近づけられるように下部にスペースが設けられておりました。
第7回勉強会15

しかし、展示と文字と色合いの関係で、文字が見づらい部分がありました。
第7回勉強会16

健常者には問題がなくても、色覚障害のある方にとってはご覧の通り、T型には見えづらい状況です。
色覚

こちらのタッチパネルは、基本的には車いすでの利用者には液晶の角度的に見えづらくなってしまうようです。
第7回勉強会17

電動車いすのジョイスティックの高さはこのような感じです。
第7回勉強会18

取手ウェルネスプラザ内には多目的ホールという400名が収容できるホールがあるのですが、2階には親子室という小部屋があり、小さいお子様と一緒に観覧できるほか、車いすの方でも観覧がしやすい部屋がありました。
第7回勉強会19

プラザ内の「みんなのトイレ」も検証。
第7回勉強会20

屋外の取手ウェルネスパークでは屋外イベントをおこなえる場所があります。
第7回勉強会21

正門からそちらの屋外施設へ車いすで行く為には、自動ドアはなく引き戸を引いて行くしかありません。
ドア

もう1箇所、敷地外から取手ウェルネスパークへ向かうスロープ上の通路がありましたが、幅が狭く、傾斜も急でした。
第7回勉強会22

こちらは車いすでの利用は想定していなく、あくまでも遊歩道であるとのことです。
第7回勉強会23

昼食は取手でアートとしても活躍されているコンフリの葛谷様から場所を提供していただき、特性ランチをいただきました。
第7回勉強会24

取手のB+級グルメである鶏手羽かくれんぼもいただきました。
第7回勉強会25

午後は取手ウェルネスプラザからキリンビール取手工場へタウンウォーク。

坂道の下り坂を下っていくのですが、このような幅が制限された場所がありました。
第7回勉強会26

電動車いすではハイレベルな操作性が必要なため、走行を断念して通過しました。
第7回勉強会27

踏切での走行は、歩道専用のグリーンラインがありました。
第7回勉強会28

キリンビール取手工場へ到着。
第7回勉強会29

車いすでも多少のルート変更は必要なものの、見学内容は変更なしで見学することができます。
第7回勉強会30

場内のバスでの移動の際には常設されているスロープを利用して乗降しました。
第7回勉強会31

バスの中ではベルト等を締めるのではなく、乗車している時間はそれほど長くはないため、介助者が支持をします。
第7回勉強会32

工場内のラインも見学ができます。
第7回勉強会33

こちらの移動にはエレベーターを使用しました。
第7回勉強会34

ビール3杯まで無料で試飲でき、工場見学を終了。
第7回勉強会35

キリンビール取手工場から取手ウェルネスパークまでの移動検証もおこない、今回のタウンウォークが終了となりました。
帰り
第6回勉強会は当初、2018年開催予定の平昌(韓国)冬季パラリンピックに際し、現地の選手村建設予定地がどのようになっているか取材する予定でしたが、夏に韓国でマーズ流行騒ぎがあったため、急きょ渡航を中止しました。

そのため第6回勉強会は予定を変更し、9月12日、26日に行われたバリアフリー改修現場見学会の報告と、追加情報としてメンバーの矢作さんと渡邉代表がバリアフリー改修の対象者ご夫妻と共に10月7日(水)~9日(金)に開催されたHCR2015を視察した結果報告も併せて行いました。


福祉住環境整備は、ハードの住環境整備だけではなく、ソフトの福祉用具導入を併用することでより良質な住環境を形成できます。

今回対象者ご夫妻が主に視察したのは、次の2点です。

≪スタンディング車いす≫



スタンディング車いすとは、必要に応じて『立てる』車いすです。例えば調理時や高いところにあるものを取る時に重宝します。

それ以外にも、以下のようなメリットがあります。

地面に対して75°以上の立位角度をとることで、体重の85~90%を足底にかけることが出来、車いす使用者に多い骨粗鬆症を防止できる。

足の筋肉の萎縮を防止し、筋肉の痙攣を少なくすると共に関節の可動性が向上する。

座骨結節や尾骨にかかる圧を取り除くことができ、除圧と褥瘡の予防になる。

≪電動アシスト機能付き車いす≫




その名の通り、坂道走行などをモーターの補助で走行出来、手の平への負担を軽減できます。

女性の手の骨は、ハンドリムを手で操る自走式車いすの場合、手の骨を酷使し過ぎて骨折する恐れがありますので、長期的には電動アシスト式の車いすの導入を視野に入れる必要があります。


第6回勉強会は夜間開催にも関わらず11名の参加がありました。やはり、バリアフリー改修と福祉用具の活用は福祉住環境コーディネーターの関心事項であることが伺えます。



今後も、バリアフリー改修と福祉用具の活用をテーマにした事例検討勉強会を実施して行きたいと思います。







2015年10月28日に第5回勉強会を開催しました。

協力団体のとうきょう地域ケア研究会さんとの共催で
『とうきょうおふろフォーラム2015』に参加いたしました。
東京都武蔵野市境2丁目14番1号 武蔵野スイングホールにて。
(10:00から16:30まで)

 とうきょう地域ケア研究会さんホームページへのリンクです。




内容は、「機械浴ゼロへの挑戦~介護の仕事は面白いと本気で思える方法」
でした。

前半(10:00~12:20)は基調講演と問題提起、後半(13:20~16:30)は実践報告と討論形式で進行しました。

総合して以下の事を学びましたので、レジュメ方式で報告いたします。

機械浴とは、利用者に対してリフト(天井に固定するものや可動式のものがあります)とスリングシート(ハンモックみたいに利用者をつり上げて、浴槽に入れる布)を用いたお風呂をはじめ、機械を用いて入浴する事を言います。

一見、施設側からしたら力を加えない、利用者から見れば人の手を煩わせない。といいことづくめの様ですが、「お風呂に入る」という観点からすると、単なる「洗浄場」と化していることに気付いたそうです。

併せて、利用者の一部では機械浴に対する恐怖から「入浴」を拒否する人が出て衛生面で支障をきたすとか、ベルトコンベア式の入浴(分業制:例えば、風呂に運ぶ人、着衣を脱がせる人、お湯に入れる人が全く別々)の弊害として、脱衣してからややしばらくそのままに放って置かれるなどの昔の大広間的介護を思い出させるような状況を生んでしまいます。

とうきょう地域ケア研究会さんの主幹事会社である、リハビリデザイン研究所(代表:山田穣さん)さんが提唱するのは、人間としての「お風呂」の復権と、利用者・施設職員の心の距離感の緊密化です。

そのために、リハビリデザイン研究所さんは、単なる風呂場の改修だけではなく、職員に対する入浴介助の講習や事後のバックアップを行っています。

浴槽の基本的なつくりは、湯船のへりに車いすからのトランスファー(移乗)を楽にする台を設置するというものです。『とうきょうおふろフォーラム2015』では、長方形タイプの和風浴槽の個浴と円形型の3人浴槽が展示してありました。








職員研修は、例えば浴槽から利用者が出る時には、力任せに持ち上げるのではなく、
一人で風呂から出るように背中を少し押して、その反動で掬い上げるなど、利用者にとっては昔に近い立ち上がりを、施設職員にとっては腰を痛めないなど、WIN・WINの関係ができるようにコンサルティングしています。

とはいえ、一般の浴槽では入れない利用者もいらっしゃいます。その場合は即「機械浴」がやむなしなのか?そうではないと提言しています。そのために開発されたのが3人浴槽です。
体の大きい人でもゆっくり入れるくらいに余裕があります。

ただし、どうしても機械浴を希望する施設さんもありますので、ヒノキの浴槽を用いた舟形の機械浴槽も提案していますし、従来のかたちに戻しやすいように旧浴槽の全面撤去ではなく、回復可能な改修を行っているとのことでした。

しかし、現場では機械浴に戻ってしまった施設さんは少ないとの報告もあります。それどころか機械浴を廃止してしまう施設さんも出てきています。中には旧浴槽を完全に埋めてしまった施設さんもいるとの報告も受けました。

機械浴の廃止から、施設職員の業務負担は減ったそうです。しかし利用者の入浴時間は6分から20分に伸びたそうです。それは、利用者側からすると、機械浴独特の不安感・屈辱感から解放されて、「お風呂を楽しむ」余裕が生まれた事と、施設職員側が持ち場担当制から一貫担当制に移行した結果、その余剰人員を別の業務に振り分けることができるようになったからです。

しかも一部の施設さんでは、利用者が好きな施設職員を指名できる制度もあります。気心知れた人の介助を受けながら、独力入浴に近い形が実現できるので、利用者の入浴率が格段に向上するだけではなく、お風呂の話をすると笑顔がこぼれる利用者が出てきています。

「あ~、いい風呂だった!~」

この一言は、利用者が人間らしく遇されて、施設職員が余裕をもった対応ができなければありえない話です。しかも道具に体を合わせるのではなく、体に合わせた道具を作るという観点から出発しないと、心地よい入浴タイムは実現しません。

全ては、「あ~、いい風呂だった!~」のために活動しているという事を学びました。

詳しくは、下記の書籍を参考にして下さい。

★「新しい介護学 生活づくりの入浴ケア」ISBN978-4-87672-233-4 定価税別2000円
 (三好春樹氏・金田由美子氏・山田穣氏・西間元章氏共著)雲母書房刊行


『とうきょうおふろフォーラム2015』終了後、場所を移して懇親会に参加させて頂きました。皆さんの熱い思いが伝わる場でした。
今後とも勉強会等で一緒に学んでゆけたら幸せだなと思う、有意義な一日でした。




         ♪FJCネットワーク東京事務局より♪
FJCネットワーク東京は、東京商工会議所主宰の福祉住環境コーディネーター検定試験合格者によって設立されました。しがらみのない自由闊達な議論の場を大切にしている任意団体です。

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