不動産のご相談は日々いろいろな内容がありますが、先日いただいたのは、距離も人間関係も少し複雑なケースでした。

「私は札幌に住んでいますが、東京に区分所有のマンションを持っています。
親戚に『一時的に使っていいよ』と無償で貸していたのですが、
売却を考えて退去をお願いしても、全く応じてくれないんです。」

一見すると「親族だから話せば分かってくれるのでは?」と思うかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません。
特に今回のように遠隔地の物件だと、直接会って話し合うことが難しく、交渉はどうしても長引きやすくなります。
さらに親族間の場合、契約書を作らずに貸してしまうことも多く、「好意」が後々トラブルの火種になることも少なくありません。


無償でも契約は成立している

今回のケースは「使用貸借契約」という形に当たります。
お金をもらっていなくても、貸した以上は法律上の契約関係が成立しているため、ただ「出て行って」と言うだけでは動いてくれないこともあります。

使用貸借契約の場合、貸主が「自分で使う」「売却する」などの正当な理由を示せば、契約を終了させることができます。
しかし、期限や手続きはきちんと踏む必要があります。


解決までのステップ

  1. 正式な書面で通知
     まずは内容証明郵便で、退去期限と理由を明確に伝えること。
     口頭やメールでは証拠が残らず、後で「そんな話は聞いていない」と言われるリスクがあります。

  2. 期限を過ぎても退去しない場合
     東京の管轄裁判所に「使用貸借契約終了による明渡し請求」を提訴します。
     遠方の場合は、現地の弁護士や不動産会社に代理を依頼するとスムーズです。

  3. 判決後も応じない場合
     強制執行を申し立て、裁判所の執行官が立ち会って明け渡しを実現します。


感情面の配慮も大切

法律的には手順を踏めば解決できますが、相手が親族である以上、関係が完全にこじれる可能性があります。
そのため、引っ越し費用の一部負担や、退去までの猶予期間を提案するなど、譲歩案を用意することで話し合いが進む場合も多いです。

不動産のトラブルは、物件の場所よりも「関係性」が難しい場合がほとんどです。
特に遠隔地の不動産は現地対応に時間と費用がかかるため、早めに専門家へ相談するのが解決の近道になります。


今回のご相談も、法律と人間関係の両面からアドバイスさせていただきました。
「札幌に住んでいるけれど、東京の物件をどうすればいいかわからない」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
距離があっても、解決方法は必ずあります。