「もうヨンウナなんて知らない!
勝手にすれば?僕も勝手に行く。」
バタン。
ヒョンが部屋を出ていった。
ヒョンが入隊するまであと約一週間。
色んな所に連れていってあげたい。
色んな話もしたいのに上手く行かない。
~約二時間前~
「ねぇ!僕、25日には最後の仕事が
終わるんだけど…どこか行かない?」
ヒョンが俺をのぞきこんできた。
『その後?』
「うん!!」
ヒョンが片方にえくぼを作り
満面の笑みで答えた。
『でも家族に会いに行ったり、
色々と身支度をした方がいんじゃない?』
「それは30日までに出来るからさ…
ちゃんと話しておきたい事とかもあるし」
それはさよならの挨拶ってこと?
キキタクナイ。ハナレタクナイ。
「ヨンウナに軍隊の事も聞きたいし!」
『…いや、いいよ。話す事なんて
特にないし。』
「えっ?」
『二年だろ?俺もあっという間だったし、
すぐだよ^^わざわざ時間作らなくても。』
ヒョンがうつむいた。
『今更ヒョンと二人なんて
なんか照れ臭いしな!!^^』
思ってる事とは違うことが口から出る。
「もうヨンウナなんて知らない!
勝手にすれば?僕も勝手に行く。」
ふと我にかえって、ふと隣を見ると
ぽっかり空いた空間。
寂しさと恋しさがこみ上げる。
行かなきゃ。
秋のソウルはすでに寒い。
ヒョンと自分の分のジャケットを持ち、
宿舎を飛び出した。
ヒョンは宿舎の外れの小さなベンチに
座っていた。
昔から何かあるとそこで一人で泣いてるのを
俺は知っていた。
『…ヒョン。』
「ヨンウナ…」
ヒョンが力なさげに振り向く。
「ハハハ。情けないね。もう男として
軍隊行くっていうのに、メソメソして。
不安に押し潰されそうだなんて…」
『ヒョン。』
小さくちぢこまったその背中に
優しく呼び掛ける。
『ごめん。ちゃんと向き合わなくて。
ヒョンが離れていくのが怖くて。
俺も弱虫だ…。』
「ヨンウナ……。」
『ずっと言えなかった事があるんだ。』
「え?」
ヒョンの頭を優しくポンポンと撫でる。
そして言えずに胸の中にしまっていた
思いを口にした。
『いってらっしゃい。ずっと、待ってる』
-END-