10月快晴。
冷んやりした空気に包まれた朝。
打ってつけのゴルフ日和となった。

いつものように1時間前にゴルフ場の門をくぐる。

フロントで受け付けを済ませ、ロッカールームで着替えているときに、ふと、気が付く。当たり前といえば当たり前なのであるが、ここまで、見知った顔に遭遇していない。

普段ならこの辺りで「おはよう」と挨拶を交わす仲間が現れるのだが、今日は仲間はいない。

ひとりで来るゴルフとはこういうことなんやなぁ、と改めて実感する。

着替えもそこそこにスタート室に向かう。
キャディバッグは、まだ、カートに積まれていなくラックに整然と並べられている。

クラブを4本とパターを抜き、ドライビングレンジに向かった。

レンジは屋根のない青空打球場で、1Wの使用は禁止だそうだ。全長は200ヤード位だろうか、1W以外のクラブなら十分である。

ひとしきり打ち終え、スタート室に戻るとキャディバッグはカートに積まれていた。

カートには、3つのキャディバッグが並んでいる。4人エントリーしていたはずなので、あと一人は遅れているようである。

カートに人影はないため、同伴者達はパター練習でもしているのであろう。筆者もパターを持ってタッチの確認を行った。

しかし、カートが気になって仕方がない。
パターに集中できずに、カートにばかり目をやっている。実に小心者である。

ひとりの男性が、パター練習を終えカートに現れた。続いて女性が続くようにカートに向かい出した。

慌てて、筆者もカートに向かった。
すでにお二人はカート辺りで挨拶を交わしている。
やや遅れて筆者も名を告げて「おはようございます」と、挨拶を交わす。

スタート時間が迫っているが、残りの一人は現れない。
「あれ?もうひとりの方はキャンセルですか」と水を向けてみると、男性(以下、A氏)が「3人になったようだよ」と笑顔で答えてくれる。

A氏が、女性(以下B氏)に訊いている。
「赤?それとも白?」
少し、はにかみながら
「白から廻らせてください」

なんと、年の頃なら筆者より少しお若い程度、プロフィールにも50歳代と記されていた。

A氏はスーッと打順を決めるくじ、スティール製のスティックを3本にしてB氏に差し出す。

1番ホール。
457ヤード PAR5。
やや右ドッグレッグ。

緊張著しいティショットは、プッシュ気味に入り、左のラフに。

OBやチョロにならなかったことに、胸を撫で下ろす。

A氏も左のラフ、B氏はよく覚えていないが、ショットに淀みがなかったので、ナイスショットだったのだろう。

さて、第2打。
右足下がりのやや前下がり、ラフとはいえ、障害となるようなライではなかった。

番手は忘れたが、アイアンでフェアウェイセンターを狙ったが、緊張はほどけていない。
インパクトで腰は止まり、手首が返る、チーピンに近い当たりとなった。

右ののり面を越えて隣のホールの境のラフに飛び込んだ。

クラブを4本ほど抜いて、ボールを探す。幸い、OBではなかったが、3打目は小高い山越えのショットが要求され、しかもグリーンは見えないシチュエーションとなった。

アドレスをとろうとするが、グリーンの方向がよく分からない。

普段だと、仲間の誰かが「ココ、ココ」と狙うところに立ってくれるが、今日はそうもいかない。

時間はかかるが、小高い山を駆け登り、方向を確認して、アドレスに入る。

今度はナイスショットであったが、グリーン手前のガードバンカーにつかまった。

持参した4本のクラブにSが入っていたため、そのままバンカーまで歩いていく。

小高い山からグリーンを見下ろす形で歩みを進めることで、エクスプロージョンのイメージができつつあった。

バンカーレーキを手に取り、バンカーに入るところにレーキを置き、アドレスする。

砂は柔らかく、好きな砂である。

エクスプロージョンのイメージのまま、クラブを振り下ろす。

フワリと上がったボールは、ピンそば1m辺りに寄った。

「ナイスアウト」
の声を頂きながら、バンカーをならし、持ってきたクラブを置き、グリーンに上がる。

あっ。

パターを持ってきていない。
いつもなら、仲間の誰かがパターを抜いてきてくれている。が、今日は仲間とのラウンドではない。

「すんません」と、声をかけカートまで全力疾走である。息が上がることは、無論、わかっているが、初対面の人を待たせるわけにはいかない。やはり、小心者である。

ゼェゼェと肩で息をしながら、アドレスに入る。

A氏B氏ともに「ゆっくり、ゆっくり」と声をかけてくれる。

アドレスを外し、ボールを置き直し、素振りをくれて、ゆっくりアドレスに入る。

カツンと打ったボールはカップに吸い込まれ、PAR発進となった。

仲間とのゴルフに慣れ親しんだプレイスタイルは、いかに仲間に支えられたゴルフだったのかと、痛感させられたデビューとなった。

記念すべき、はじめてのひとり予約は、ミスショットとナイスショットが交差しながらも、なんとかPARを拾えたスタートとなった。