遮る雲がなく、照り付ける太陽の陽射しはフェアウェイを温めている。

 

長袖のポロシャツにウィンドブレーカーを着込んでのスタートである。

 

日中は暖かくなるだろうが、朝晩はまだ冷え込んでいる。

普段のビジネススーツでは、ニットのベストかウルトラライトダウンのインナーを着込んで通勤しているほどである。

 

手引きカートを引きずりながら、ホールを重ねていくうちに、ポカポカと身体も暖かくなり、少しばかり汗ばんできた。

 

普段なら、同伴競技者がプレイしているときに、音を立てずにソッと、ウィンドブレーカーを脱ぐのであるが、ひとりで廻っていると、このタイミングが訪れない。

 

プレイが始まると、どこに打つか考える、打つ、次の狙いどころや風の向きなどの考えをめぐらしながら歩く、次打地点に到着する。

またまた、どこに打つかを考える、打つ・・・・・・このルーティンを延々と繰り返す。

 

そして、これがラウンドリズムとなり、これを乱される事件、所謂外乱が起きない。

 

普段なら同伴競技者との他愛もない会話や前の組に追いついて待たされる。

などの外乱でラウンドリズムを中断し、外乱をやり過ごしてから、リズムを整える自分なりの儀式を行ってプレイを再開する。

 

集中が途切れ、途切れた集中を立て直す。

これもまた、スコアを作るためのスキルといえる。

 

ひとりで廻っていると、この集中が途切れることがない。

 

ウィンドブレーカーを脱ぐタイミングさえつかめずにいる。

そういえば、喉を潤すこともしていないことに気づく。

 

フェアウェイの2打地点。

慌てて、集中を自身の意思で途切らせた。

 

後続の組は来ていない。

ゆっくりとウィンドブレーカーを脱ぎ、水筒にいれた温かいほうじ茶をごくりと飲んで、ひと心地つく。

 

だが、身体はさっさと終わらせて、先を急ごうとしている。

後ろの組は視界に入っていない、急ぐ必要はどこにもない。

 

なんなんだろう。

ひとりで廻っている・・・・という、贅沢に、罪悪感を覚えているのだろうか。

 

解を得ることはなかったが、再び、集中の世界に舞い戻っていく。

 

ひとりラウンド・・・なかなか、勝手が違う・・・・。