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 ●赤いランプ

 僕がまだ幼稚園児だった頃、祖母が一人で西荻窪に住んでいた。
 とても優しい祖母だったのだが、一つだけ気味悪い思い出がある。
 祖母が住んでいたのは、良くある外廊下の、安いアパートだった。
 階段を登りきった所の天井に、赤いランプが付けられていたのが印象的だった。
 当時交番に良く付けられていた物に良く似た、子供の頭ほどの真っ赤なランプ。
 夜になると辺りを照らすでもなく、ぼんやりとした赤い光を放っていた。
 僕はそのランプが、大嫌いだった。血の色のような赤い色も嫌いだったし、
 下を通るたびに頭に落ちて来そうで、怖かったのだ。

 ある日僕は、ポケットにあったスーパーボールを、ランプに投げつけた。
 ほんのイタズラ心だったのだけど、ボールは見事に命中し、1テンポ遅れて、赤いランプは落下した。
 そしてがちゃんと派手な音を立て、それは割れてしまった。
 僕は怒られるのが怖くて、その日は祖母の部屋には行かずに帰ってしまった。

 数日後遊びに行くと、祖母の左目が赤く腫れていた。
 どうしたのかと聞くと、物貰いだと言う。
 その時はふうんと聞いていたのだが、数日後また遊びに行くと、
 祖母の左目はまるで半魚人のように真っ赤に腫れ上がり、
 完全に目を閉じる事さえ出来なくなっていた。
 目尻からは、黄色い膿が流れ出ている。
 僕は恐ろしくなって、病院に行こうと祖母の腕を引いた。
 と、それまで俯いていた祖母が真っ赤な目を見開いて、突然叫んだ。
 「お前が割ったからじゃないか!!」
 それまで祖母に怒鳴られた事など無かった僕は驚き、泣き叫んだ。
 その後どうやって家に帰ったかは、全く覚えていない。

 それから数年経って、祖母にその時の事を聞いたことがある。
 不思議な事に、祖母は全く覚えていないと言った。
 目を腫らした事さえ、覚えてないのだという。
 ただそれから20年後に亡くなるまで、祖母の左の白目には、赤い斑点が残っていた。

 これは数年前に作家デビューごっこをしていた時に、西荻窪でのイベント用に書いた物です。
 一応、入選させて頂きましたw。800字という制限内でどれくらいの作品が書けるか!って企画でした。
 確かここでは掲載した事無いと思うので、ご紹介まで。見た事ある方はごめなさいw。


 みなさんどんなお盆休み過ごされてますか? お墓参り? おうちでのんびり?
 いいですねぇ・・・僕はナゼか今日も事務所におりますよT_T。

 明日、お墓参りとね、画伯連れて映画でも観に行こうかと思ってます。
 今年のお盆はそれで終わりかなー。

 みなさん体調など崩されず、良いお休みを楽しんでくださいね!