ハンターの冒険死 「涙の訳は?」

 

トーマスが用意しておいてくれた食事を済ますと、二人は急いで隊長にあらかじめ指定されていた大木の根元に向かう。

 

「おい、トーマス。何で俺を起こさなかったんだよ」

 

八つ当たりぎみにトーマスに棘のある質問をする。

 

「何回も起こしたからな。俺は悪くないけぞ。待ってやっただけ感謝しろよ」

 

その通りです。二度.......いや、三度寝ぐらいしたかもしれない。

 

「すまなかった。今夜の夕食は奢るからさ」

 

「その言葉、忘れないでくれよ」

 

真剣な表情そのもので答える。

 

大木の根本では既に作戦の説明が始まっていた。二人は静かに作戦会議中の輪の中に加わろうとしたが片目に見つかった。

 

「やっと来たかトーマス、そして......パンダ―」

 

最近のおっさんの趣味も中々のものである。葉巻に眼帯、ごつい鎧をつけ完全に気取っているが似合っているのが悔しい。普段は温和な性格のテセス隊長だが時間には厳しい事で有名である。

 

「お言葉ですがパンダ―ではなくハンターです」

 

「パンダの方がましなぐらいだな。ハンター、貴様の脳内に時間管理という管轄は設定されていないのか?」

 

この会話は日常茶判事なので他のメンバーは無視して作戦を練っている。

 

「申し訳ございませんでした。以後、気を付けます」

 

ハンターは頭を下げると作戦会議の中に加わろうとする。テセスも鼻息を荒くしながら輪の中心に戻って行った。

 

「はぁ~」

 

大きく溜息をつき、作戦を聞こうと思った瞬間、他の誰かに腕をつかまれる。

 

「アリュ、俺の腕を放してくれないでしょうか?」

 

「今日も死のうとか考えて遅れたとか言ったら灰にしてあげるから」

 

アリュさん、それはキツイですよ。

 

「関係ないだろ」

 

力ずくで振りほどこうとする。

 

あれ......今日は何の抵抗力もなしに腕が放された。

 

おかしいなと思い後ろを振り返ると、

 

「いやいや、いきなり泣くのは反則でしょ。女の特権を行使しないで下さい。はい、私が間違っていました、ごめん」

 

ボロボロと涙をこぼすアリュ。

 

あー、濡れた瞳の美人だ。

 

とか思いつつハンターは必死に弁解の意を表そうとした。

 

「本当にごめん。アリュが心配してくれているのは分かってるんだけど、どうしても死にたくなっちゃうんだ。このゲームに閉じ込められた荒れてるんだよ」

 

「ちがう」

 

「えっ?」

 

「わ、私が泣いている理由は......」

 

理由は......聞かなければよかったかもしれない。