個人的に贔屓にしているシリーズなので

あまりネガティブな感想は言いたくなかったのだけど…

12月10日に発売された6巻は、ここが良い!と胸はって言える箇所が皆無と言っていいほど見当たらない、散々な内容だった

 

 

 

まずカバー表紙のイラストと実際の内容の解離がひどい

これは表紙詐欺というやつでは?と愚痴を零したくなるほどアンマッチなイラストだった

 

6巻は夕陽と共に、各々の声優アイドルユニットのリーダーとなったやすみが、人間関係のいざこざや価値観の違いと対峙し

自分を見失いかける…という展開なのだけど、凄く雑い上に、何のカタルシスもない決着のつけ方で唖然とした

1巻から5巻までは、やすみの声優としての成長と、相方との仲をリンクさせて困難を乗り越える、または見識を広げる的な展開の纏め方で

それなりに見所もカタルシスも燃えもあったのだけど、今回はそうした盛り上がりを全く生み出せてなかった

 

本来であればお話的に最高潮を迎えるはずの、ライブ当日の描写も驚くほど薄っぺらく失望した

というか、本番どうだったかについては殆ど何も書かれず終いで、何となくお互いよくやった的な楽屋談笑だけでほぼ済ませてて、拍子抜けもいいとこだった

具体的に言うと、本番のライブシーンは僅か14行。夕陽側ユニットに至っては0行で

どんな雰囲気のステージだったのか

やすなは夕陽側ユニットのパフォーマンスをみて何を感じたのか、といった

そういう臨場感を伴う描写はなく、吃驚するほど熱が伝わらない

嘘でしょ、落丁か?落丁だと言ってくれ!と呆れを通り越して変な笑いが出てしまった

 

ライブシーンに限らず、今回やすみが張り合うこととなった夕陽側ユニットの内情描写が乏しかった

ダンスレッスン初日の覗き見以降、これといった夕陽側ユニットの内情描写が無く

それゆえやすなの焦りも、リーダーとしてどう振舞うのがベストかという葛藤も今一つ伝わってこない

 

中盤辺りで「夕陽もライバルチーム側のリーダーになって苦労している」ことを匂わせるセリフが僅かに出てくるけど

その苦労の中身は分からず終いで、モヤモヤが残る

雑というか手抜きにもほどがある、と本を投げたくなったほどスッカスカなライバル描写だったので

圧倒的な出遅れからイーブンまで持っていけた!…と結果だけ最後の最後で示されても「ふ~ん?」と思っただけで、何の感慨も抱けなかった

 

あと設定の矛盾もひどかった

飾莉が自主練に参加できないのは、実家住みのやすみやミントと違って

「声優を目指したが故に親から勘当されて、生活費稼ぐためにバイトしなければならない」

新人声優ゆえにベテラン声優のめくるのように「声優の稼ぎだけではとても暮らせない」…が理由だったはずなのに

なぜか最後、雨降って地固まる的な打ち解けによって

「飾莉も熱心に練習するようになった!めでたし」で纏めようとしてて

いや、生活費の問題云々は何だったの!?

自主練は結局不要だったの?と思わず声に出してツッコんでしまった

 

設定と言えば、「魔法使いマショナさんの収録と同時進行で進んでいる別軸の話」という要素も、単に分かりづらさを生んでるだけで、何の魅力にも繋げられてなかった

マショナさんでもコーコーセーラジオでもめっちゃ頻繁に顔を合わせ濃密に絡んでる時期な筈なのに、千佳に会いたいと焦がれるシーンがあって

心情としてはあり得なくもないけど展開としてはやや強引で、正直この同時進行設定は足を引っ張ってるだけとしか思えなかった

 

悲しいことに、このつまんなすぎる

声優アイドルユニット同士の対決劇場は、7巻以降も続くらしく

今後も持ち直しに期待できそうにないので、この6巻で切ることにした

 

今まで応援していただけに、この駄作っぷりは見るに堪えない

 

「私達はいつも間違いだらけだ。でもだからこそ…」的なエモい決めセリフは、もっと上手いシチュだったら最高に輝く名シーンとなり得ただろうに

今までの積み重ねを色々と台無しにした、残念すぎる最新刊だった