報道によれば、
筑波大学は、
「大麻草(マリファナ)の主要な幻覚成分や、合成大麻『スパイス』に含まれる成分が重篤な痙攣発作を引き起こす原因であることを、マウスを使った実験で実証した」
と発表した。
同成果は、筑波大学国際統合睡眠医学研究機構(WPI-IIIS)のオリガ・マリシエフサカヤ 研究員と裏出良博 教授、国立医薬品食品研究所生薬部および九州大学薬学部の研究グループによるもの。
詳細は英国の学術誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
「大麻草(マリファナ)は危険性が他のドラッグよりも低い」と考えられ、比較的手に入りやすいことから、世界で幅広く濫用されている違法薬物だ。
また、大麻草の幻覚成分であるカンナビノイドの構造を出発点として次々と新しい合成カンナビノイドが作られ、日本でも『危険ドラッグ』として中高生が入手できるほどに横行し、不正乱用されて大きな社会問題となっている。
今回の研究では、大麻草の主成分で、一部の国では嗜好品や医薬品としても用いられている『Δ9-テトラヒドロカンナビノール』と、"スパイス"と呼ばれる違法ドラッグに含まれる合成カンナビノイド『JWH-018』をマウスに用いて実験を行なった。
マウスの脳波や行動を詳しく解析したところ、これらの化合物を投与すると、ただちに痙攣発作が誘発されることが判明した。
一方、カンナビノイド1型受容体に特異的な拮抗薬である『AM-251』を投与すると、この発作が完全に抑制されることから、どちらの化合物も『CB1R』を介して痙攣発作を誘導していることが明らかとなった。
なお、この結果は、これまで「大麻草や合成カンナビノイドの乱用は、健康被害や副作用が比較的少ない」という間違った理解に警鐘を鳴らすものであり、
「たった1度の使用でさえも有害影響をもたらし、重篤な健康被害につながりうることを示唆しているものだ」
と研究グループでは説明している。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
http://news.mynavi.jp/news/2017/09/27/163/
カンビノイドによる痙攣発作の誘導(出所:筑波大学Webサイト)
大麻(たいま)ないしマリファナ (marijuana) とは、アサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたもの。これに含有される化学物質カンナビノイド(約400種類の合成物の一つ特にテトラヒドロカンナビノール (THC))には様々な薬理作用があり、嗜好品や医薬品として用いられる。
個人による所持や使用について法規制を設けている国が多い一方、先進国を含む一部の国や州においては合法あるいは非犯罪化されており、身体的・社会的有害性についての評価は地域ごとに差がある。
大麻の長期使用者の一部に不安、抑うつ状態、自殺願望や、物事に無関心になり学業、仕事、その他の目標思考活動に興味を示さなくなる無動機症候群が出現することが報告されている。
日本においては、『大麻取締法』により、大麻の所持、栽培、譲渡等に関して規制があり、その取扱には当局の許可を得ることが必要(免許制)であるが、実際の運用においてはほとんど許可を出さないのが実情である。
日本では、無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。
筑波大学は、
「大麻草(マリファナ)の主要な幻覚成分や、合成大麻『スパイス』に含まれる成分が重篤な痙攣発作を引き起こす原因であることを、マウスを使った実験で実証した」
と発表した。
同成果は、筑波大学国際統合睡眠医学研究機構(WPI-IIIS)のオリガ・マリシエフサカヤ 研究員と裏出良博 教授、国立医薬品食品研究所生薬部および九州大学薬学部の研究グループによるもの。
詳細は英国の学術誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
「大麻草(マリファナ)は危険性が他のドラッグよりも低い」と考えられ、比較的手に入りやすいことから、世界で幅広く濫用されている違法薬物だ。
また、大麻草の幻覚成分であるカンナビノイドの構造を出発点として次々と新しい合成カンナビノイドが作られ、日本でも『危険ドラッグ』として中高生が入手できるほどに横行し、不正乱用されて大きな社会問題となっている。
今回の研究では、大麻草の主成分で、一部の国では嗜好品や医薬品としても用いられている『Δ9-テトラヒドロカンナビノール』と、"スパイス"と呼ばれる違法ドラッグに含まれる合成カンナビノイド『JWH-018』をマウスに用いて実験を行なった。
マウスの脳波や行動を詳しく解析したところ、これらの化合物を投与すると、ただちに痙攣発作が誘発されることが判明した。
一方、カンナビノイド1型受容体に特異的な拮抗薬である『AM-251』を投与すると、この発作が完全に抑制されることから、どちらの化合物も『CB1R』を介して痙攣発作を誘導していることが明らかとなった。
なお、この結果は、これまで「大麻草や合成カンナビノイドの乱用は、健康被害や副作用が比較的少ない」という間違った理解に警鐘を鳴らすものであり、
「たった1度の使用でさえも有害影響をもたらし、重篤な健康被害につながりうることを示唆しているものだ」
と研究グループでは説明している。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
http://news.mynavi.jp/news/2017/09/27/163/
カンビノイドによる痙攣発作の誘導(出所:筑波大学Webサイト)
大麻(たいま)ないしマリファナ (marijuana) とは、アサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたもの。これに含有される化学物質カンナビノイド(約400種類の合成物の一つ特にテトラヒドロカンナビノール (THC))には様々な薬理作用があり、嗜好品や医薬品として用いられる。
個人による所持や使用について法規制を設けている国が多い一方、先進国を含む一部の国や州においては合法あるいは非犯罪化されており、身体的・社会的有害性についての評価は地域ごとに差がある。
大麻の長期使用者の一部に不安、抑うつ状態、自殺願望や、物事に無関心になり学業、仕事、その他の目標思考活動に興味を示さなくなる無動機症候群が出現することが報告されている。
日本においては、『大麻取締法』により、大麻の所持、栽培、譲渡等に関して規制があり、その取扱には当局の許可を得ることが必要(免許制)であるが、実際の運用においてはほとんど許可を出さないのが実情である。
日本では、無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪である。