「総理の犯罪」「戦後最大の疑獄」として知られるロッキード事件で故田中角栄元首相が1976年7月27日に逮捕されてから40年が過ぎた。

不思議な巡り合わせだが、世は田中角栄ブームである。

角栄本が相次いで出版され、コーナーまで設けている書店もある。

政治的手腕にとどまらず、人間性や生き方を高く評価する内容が目立つ。

現代政治が失った決断力、日中国交正常化を実現した外交力、世襲でも官僚出身でもないたたき上げの経歴に魅力を感じる人も多いのだろう。

だが、俺はこれには異議を唱える。

田中角栄は、平気で形而下の言を弄(ろう)し、人の欲望を『地位』と『金』で割りきった。

日常の庶民の会話レベルで利害得失に満ちた演説に終始し、当時の風潮や日本人の心情にもっとも照準を合わせた指導者として、上手く取り入ったのだ。


この角栄ブームは首相に就任した72年前後にもあった。

「高等小学校卒業の苦労人」は空前の人気を集めた。

だが、期待がしぼむのは早かった。

企業ぐるみの金権選挙、土地投機や物価高騰をあおった列島改造論、露骨な利益誘導…。

首相退陣から間もなく、米国で発覚したのが『ロッキード事件』だ。

ロッキード社の秘密資金の趣旨や誰に流れたかは一部しか解明できずに終わったが、いずれにしても今で言う「口利きビジネス」。

新幹線や道路建設など公共事業による利益誘導も現代に続いている。

地方も含めて政界には「ミニ角栄」が暗躍し、「政治とカネ」の問題は一向に後を絶たない。

政界はもちろん、私たちも「角栄の昭和」を引きずっているのではないか。

田中角栄を美談で語るのには違和感を覚える。

日中国交正常化のせいで、中国に日本の国民が納めた税金が湯水のごとく食い潰され、事ある毎に中国は反日デモに余念がない。

こんな売国奴、美談にするな❗❗