明日、夕方17:00に愛犬アイを見送る。


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ありし日のアイ。


昨日いろいろと調べ、探したペット葬儀社に依頼し、移動式火葬車による訪問火葬と、僧侶による読経を依頼した。


俺には、もうこれくらいのことしかできない。


明日の夜には骨と灰だけになるアイ。

今は涙すら渇れた(浴室で泣いた。俺まで号泣すれば、父や姉が精神的に耐えられなくなる。だから、家族の前では涙を流さなかった)。

葬儀の手配を終え、1日の終わりに入浴した時に、一気に涙が溢れた。

「もう何かをねだって甘えたり、『遊ぼう』とまとわりついてくるアイがいない」と思うと、悲しくてたまらなかった。

男のくせに泣いた。

だが、声は圧し殺した。

声を出して泣けば楽だったかもしれない。

でも、助けることができなかった自分への怒りがそれを赦さなかった。

浴室の壁を殴った。

右の拳に鈍い痛みが走る。

「アイの身体を襲っていた痛みは、こんなもんじゃないな」

アイの痛み苦しみの千分の一でも味あわなければ、自分を赦せなかった。


入浴後、着替えて髪を乾かしている時、アイの気配と線香の匂いがした。

「アイ、お前なのか?」

声に出して聞いてみるが、何も応えない。

アイの気配が俺の周りを包んだように感じた。

「もう行くね」

そう言っている気がした。

自然に涙が溢れた。


明日、アイを見送る。


アイ、お前のことは一生忘れない。

ちゃんと見送ってやるからな。