CTの結果、愛犬アイの身体に次々と病魔の爪痕が見つかった。

腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、そして、大腸癌。

しかも、大腸癌は5、6個も大きな腫瘍が…。

それが腸内で破れ出血、貧血を引き起こしたのだ。

加えて、背骨の一部に形成異常(生まれつき)があった。

病魔による満身創痍だ。

結石を完全に除去するには、腎臓を切開して結石除去と、右尿管を人工尿管へと交換、膀胱を切開して結石除去という大手術が必要だ。

だが、大腸癌までもが見つかった。

それにまだまだしなければならない検査がある。

MRI(核磁気共鳴画像診断装置)でさらなる病巣を見つけなければならない。

そのためには、現在入院している動物病院から車で一時間ほど走った所にある大学病院に附属の動物病院まで搬送する必要がある。

食欲がなく、水を飲むことさえできないアイは点滴だけでもっているため、体力的に厳しい。

状況はかなり悪い。


病魔よ、どこまでアイを蝕めば気が済むのだ?

蝕むなら、俺を蝕め。

今まで何度も癌の再発と闘ってきた俺だ。

俺ならどうなろうとかまわない。

アイを苦しめるな。

病魔よ、俺を苦しめろ。