報道によれば、全身を急速に腐らす病原菌『人喰いバクテリア』があるという。

しかも、救命のタイムリミットは、たったの48時間。

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エボラ出血熱やデング熱のニュースで感染症への危機感が高まる昨今。

実はわれわれ日本人の身近なところにも、多くの感染症が存在する!!


『人喰いバクテリア』と呼ばれる、恐ろしい病原菌がある。

正式名はビブリオ・バルニフィカス(以下、Vv)菌という。

その名の通り、発症すると、下肢を中心に全身が急速に腐る。

致死率は50~70%。

救命のタイムリミットはわずか48時間。

患者の手術を何件も行っている熊本大学附属病院皮膚科の井上雄二医師によると「Vv菌が血管に入ると6~7分で菌の数は倍になり、2時間後には100万倍。
大量の抗生剤の投与と透析治療を並行するしかありません」。

また命が助かる場合でも、手足の切断を避けられない場合もあるという。

Vvは魚介類の体内に生息し、塩分濃度が低く海温が20℃以上になると大繁殖するため、ゲリラ豪雨後に捕れた魚介類を生食しての感染も懸念されている。

また、磯を歩いて傷を作り、そこが海水に触れて感染する場合もある。

「もともと肝臓の弱い、C型肝炎、肝疾患、糖尿病患者が罹患する場合が多いのが特徴です」(井上医師)


この恐ろしい感染症、国への届け出義務がない。

そのため、年度・地域ごとのデータが存在していないのだ。

唯一の全国統計といえるのが、国立医薬品食品衛生研究所の山本茂貴氏が主任研究者となり、2003年と2004年に出された報告書『Vvによる重篤な経口感染症に関する研究』だ。

同報告書でVvの最危険地域と指摘されたのは、熊本県を含む有明海沿岸、瀬戸内海北岸、そして東京湾沿岸。

全国1693の医療施設へのアンケートによると、1999~2003年の5年間に、全国で107人(東京都は6人)が発症したという。

「Vvの認知度は医師の間でも16%と低く、多くは『原因不明の敗血症』と扱われる。
本当の数字はもっと大きいはずです」と井上医師は語る。

国による早急な実態調査が望まれる。


<ビブリオ・バルニフィカス>

●日本人患者数/データなし

●感染経路/魚介類の生食など

●致死率/50%以上