報道によれば、アフリカで感染症の流行に異変が起きており、

エボラ出血熱に続き今度は出血性胃腸炎が出現しているという。


エボラ出血熱が猛威を振るうアフリカで、

今度は中央アフリカのコンゴ民主共和国で病原を特定できていない出血性胃腸炎が大流行している。

さらに、ガーナでは現在コレラがパンデミック(大流行)の状況にある。

3つの感染症が同時流行していることに関連性はあるのだろうか。


世界保健機構(WHO)によると、

エボラ出血熱は西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネを中心に感染が拡大し、

2014年8月13日までに死者数が1100人、感染者数が2100人を超えているという。

現在、アフリカではこれとは別の異変が起きている。

コンゴでは出血性胃腸炎に592人が感染し、少なくとも70人が死亡した。

21日にロイター通信が伝えたところによると、5人の医療関係者も死亡者に含まれている。

原因となるウイルスなどは特定できず、コンゴ政府とWHOは専門家を派遣して調査を進める。

症状は嘔吐や下痢、内出血を起こすなど、エボラ出血熱とよく似ている。

当初は、「エボラ出血熱ではないか?」として専門家を派遣したが、

WHOの報道担当者は「エボラ出血熱ではない」と否定した。

もう一つはコレラの流行。
AFP通信によると、

ガーナの首都アクラでは6月以降で3100人以上が感染し、そのうち40人以上が命を落とした。

コレラも下痢などで脱水症状を起こし、最悪の場合は死に至る。

過去にもコレラが発生したことはあったが、保健当局は今回の流行を「驚異的だ」として、「すでにパンデミックの状況だ」と語っている。

なぜ、各地で感染症が同時流行しているのか。

嘔吐や下痢など症状は似ているが関連性はあるのだろうか。


そうなると、日本での感染拡大がどうなのかが疑問である。

関西福祉大学の勝田吉彰教授は、
「3つの感染症の関連性は考えにくい」と否定した。
エボラ出血熱は感染者の血など体液を介して拡大するが、今回の胃腸炎やコレラは食中毒など経口での感染が中心となるためだ。

春から夏にかけて感染が拡大した時期が重なったことについては、

「胃腸炎やコレラは湿気の多い雨期に起こりやすいものです。
エボラ出血熱は感染源とされるコウモリの生態など分かっていないところもありますが、同時期に起こった関連性は低いと思います」とした。

心配は日本での感染拡大だが、
「まずないと思います」と言う。

日本では感染症法に基づいて、強制的に入院させられるなど感染症ごとに措置が取られることになっている。

そのため、仮に感染者が出たとしても、アフリカで起きているような大流行は起こりにくいそうだ。

しかし、「エボラ出血熱が片付いたからといって油断はできません」と指摘する。

「アフリカは衛生上の問題から感染症が起こることが多く、平時でも注意が必要です」と警告している。



一番の問題は、エボラ出血熱にしろ、コレラにしろ、確実な特効薬が無いことだ。

対処療法しかないのだ。

また厄介なのが“潜伏期間”だ。

潜伏期間とは、感染してから発症するまでのことだが、潜伏期のうちに交通機関を利用して感染者が移動した場合、どうなるか?

その交通機関内で発症した場合、一気に感染者が増加することになる。

それだけに恐ろしいのだ。
こればかりは医療機関の報告を待つしかない。

だが、これらの感染症に携わる医療従事者の危険性は遥かに高く、正に命懸けだ。