沖縄・尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で24日、異例の“政治決断”が下った。


船長を処分保留で釈放する。」という判断は事実上の捜査終結を意味する。


同時に、「日本領海内で何をしてもお咎めなし」というメッセージに等しく、今後の国境の守りへの悪影響は確実である。


厳しい捜査に当たってきた海保関係者は「悔しい」と唇をかみしめた。



処分保留・釈放の決定を受け、海保を所管する馬淵澄夫国土交通相は24日夕、記者団に「検察当局の判断。口を挟む立場ではない。」と繰り返した。


この日午前の会見では「国内法にのっとり粛々と対応することに変わりはない。毅然とすべきだ。」と述べたばかりだった。

 

刑事手続き上、処分保留で釈放したとしても、船長を起訴することは不可能ではない。


那覇地検の鈴木亨次席検事が会見で、起訴、不起訴に関して、「尖閣諸島の状況や日中関係の推移をみて処分する。」と語ったとおりだ。


しかし、ある検察幹部は「起訴は簡単だが、船長は日本の領海と認めず、中国政府も日本の裁判を認めない。起訴しても裁判は長引き、経済への影響も大きくなるのは間違いない。それでいいのか。」と説明、実質的に不問に付される公算が大きい。


犯罪行為を事実上見逃す前例を作ったことで、今後の領海警備に悪影響が出るのは確実だ。


ある海保職員は「忠実に任務を遂行しただけなのに…。われわれだって悔しい。」と怒りをにじませた。


これまで海保には激励の電話が続いていたが、この日は一転、「明確な領海侵犯ではないのか!」などと、回線がふさがるほどの苦情電話が殺到した。


捜査してきた石垣海上保安部にも「海保が命をかけて頑張ったのに、検察は何をしているのか!」と怒気を含んだ電話があったという。


押されてばかりの日本だが、衝突時のビデオ映像という「動かぬ証拠」は残っている。


「漁船から衝突してきた様子が写っている」(海保幹部)という。


船長送検時に海保が検察側に提出し、これまでは非公開だった。


今後、公開を求める声が強まるのは確実だ。

 

ただ、地検関係者は「ビデオは海保に返却した。あとは海保の判断」、馬淵国交相も「(ビデオは)状況を見ながら対応を見守りたい」と繰り返すばかりで、公開に向けた道筋はついていない。




これが民主党の誇る「政治主導」の帰結なのである。

 

那覇地検は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で勾留した船長の釈放を決定したが、仙谷由人官房長官は「地検独自の判断だ」と繰り返した。


これを真に受けるのはよほどのお人よしだ。

 

中国の要求を丸呑みした今回の釈放劇は、尖閣諸島の危機のみならず、日本と日本人に多大の災厄をもたらす。


今回の事件で、民主党政権に国家を担う統治力がないことも明白になった。



中国は今回の事件で、ありとあらゆる嫌がらせをやってきた。

 

青年訪中団の突然のキャンセルや閣僚級の交流停止は序の口で、省エネ家電の部品に不可欠なレアアースの輸出を停止し、果ては何の関係もない「フジタ」の社員4人を拘束した。

 

国家は、領土、人民、主権の3要素から成り立っているが、領土あっての国家だ。


尖閣諸島の実効支配を狙う中国が、船長逮捕を奇貨として山賊まがいの強硬策をとったのはある意味、当然のことだ。

 

国家意思をむき出しにして攻勢を強めてきた中国に対して日本政府(管政権)の対応は、あまりにもお粗末だ。


東シナ海の権益をあわよくば独占しようという中国は、「なんとか冷静に、穏便に」という基本方針で通用する相手ではない。

 

韓国の反日デモに参加した岡崎トミ子氏を国家公安委員長に起用した人事が象徴するように、菅直人首相をはじめ民主党幹部のほとんどが、国家意識があまりに希薄だったのも災いした。


事件発生以降の首相の言動を追うと、領土、人民、主権を命がけで守ろうという気迫がまったく感じられない。


官房長官に至っては「偏狭なナショナリズムを煽らないように!」と、何か日本側メディアに問題があるかのような発言を繰り返した。


しかも、釈放の責任を那覇地検に押しつけるようないいぶりをみせた。


これでは、命の危険を顧みず逮捕した海上保安官や連日取り調べに当たった現場の検事が浮かばれない。


フジタの社員が拘束されたのが分かったのは21日だが、外相や現地の大使が中国に強く抗議し、釈放を求めた形跡がない。


これでは、無理が通れば道理がひっこむ中国外交にかなうはずがない。


政府が「法と正義」を金看板とする検察に事実上、「政治判断」を強いた罪も重い。


「日中関係を考慮して容疑者が釈放されるなら、東京で中国人が事件を起こしても中国がねじこめば、釈放されかねない。」という前例を残した。


これは重大なミスだ。


大阪地検特捜部の主任検事が逮捕された検察庁の足元を見たようだが、検事総長は何をしていたのか?


明治以来、先人たちが営々として築いてきた法治国家の根幹を揺るがす事態を招いた責任は、菅政権が負うべきものである。

 

ただ、一連の出来事で、教訓となったのは「『日中友好というスローガンは紛い物」ということを国民に教えてくれたことだ。


政治家や経済人の一部には、日本の首相が靖国神社に参拝さえしなければ、日中友好は盤石だと勘違いしていた人がいたが、まったくの間違いだったことが証明された。


それともう一つ。


「偏狭なナショナリズム」に沸く中国に観光でお出かけになるのは、しばらく控えた方がいい。


どうしても行くのならビデオカメラは持って行かぬことだ。


中国は、気に入らない日本人をいとも簡単に逮捕するし、日本大使館もあてにならない。



これで日本国民も“民主党=腰抜け”ということが分かったはずだ。


鳩山前首相の時、政府は何をした?


あの鳩山政権の時は、政府は中国にご機嫌をとり、すり寄った。


あまりに愚かだ。



このまま民主党に日本の舵取りを任せていいのか?



こんな脳死状態の内閣じゃ、日本が乗っ取られるのは時間の問題だ。