報道によれば、参院選の最大の争点に浮上した消費税増税について、菅直人首相が発言をトーンダウンするなど民主党が「争点隠し」に躍起となっている。
「消費税率10%」に言及した首相の発言後、世論調査で内閣支持率が下落し参院選への影響が出始めているためであることは明白だ。
菅首相はカナダ・トロントでの同行記者団との懇談で「私は(各党に消費税の議論を)呼びかけると申し上げたが、皆さんが書いている見出しだけ読むと書いていない
もうちょっと正確に言って欲しい
」と、 報道に八つ当たりした。
痛いところを突かれて報道に八つ当たりするというのは、首相としての資質が問われるとさえ思う。
消費税増税論議を参院選で掲げようとしたのは首相自身だ。
実際、フジテレビ「新報道2001」の24日に行った調査でも支持率は46・8%と5割を割り込み、1週間前と比べ6.4ポイント下がるなど影響は如実に出ている。
民主党の菅首相グループに所属する東京選挙区候補の27日の街頭演説では、「参院選は消費税が争点ではない。争点になるなら次の衆院選だ。参院選は政治行政の改革を民主党にやれということを表していただく選挙だ。」という発言も飛び出している。
候補の応援に駆けつけた枝野幸男幹事長も消費税に触れることはなかった。
最近、枝野氏が街頭演説などで直接「消費税」の文言に言及することはほとんどない。
これはいったい何を意味するのか?
仙谷由人官房長官と民主党の枝野幸男幹事長、玄葉光一郎政調会長、安住淳選対委員長は27日夜、都内のホテルで参院選の情勢について意見交換したが、「与党で過半数維持に必要な56議席を得るのは現状では困難である。」との見方が多数を占めた。
その一方で、「自民党に無党派層を引きつける勢いはない。」との認識でも一致したが、安住淳選対委員長は出席者に「消費税についてあまり発言しないで欲しい。」と自制を求めた。
要するに、『この参院選で消費税について余計な発言をすれば、国民にソッポを向かれる。だからこそ、国民の関心を消費税以外のものに向けなければならない。』という魂胆なのである。
だから、焦点のボケた発言ばかりをしているのだ。
ただ、「争点隠し」に躍起になり、発言を軌道修正することは逆効果だ。
過去にも故橋本龍太郎首相が平成10年の参院選で、恒久減税をめぐり発言が二転三転し、自民党は敗北、橋本氏は退陣に追い込まれた例がある。
その事実を考えると、「争点隠し」は何の効果ももたらさない。
こういった「争点隠し」の一方で、枝野幸男幹事長はみんなの党などに秋波を送りはじめている。
枝野氏は27日午前のBS11の番組収録で「安定的な数を得てもテーマごとに考え方が近い皆さんの意見を取り入れ、幅広い合意で進めたい。行政刷新ならみんなの党と大変近い。財政健全化では園田博之・たちあがれ日本幹事長と新党さきがけの時(一緒に)やった。労働者の立場では社民党と近い。野党のよい意見があれば、取り入れるのは与党の器量だ。」と語り、参院選後の部分(パーシャル)連合を示唆している。
したたかである。
だが、枝野氏は同日午後、東京・池袋での街頭演説で「行政改革担当大臣を1年半もやりながら結果を残せなかった。」と渡辺喜美みんなの党代表を批判したのである。
いったいどっちが本音だ?
みんなの党候補の話によれば、「連携をちらつかせ有権者の新党離れを狙う作戦だ。」との見方もあるが、支持率がV字回復した内閣発足時の余裕がなくなっていることの証左ともいえる。
今回は、珍しく政治ネタでした m(__)m