ネット上に書き込まれた「ブラック企業」の噂に、就活中の大学生が敏感になっている。


このブラック企業とは、「従業員に対して、法律に抵触する可能性がある条件で労働をしいるような会社」を指す。


たとえば、仕事に見合わない低い賃金や、サービス残業がやたらに多い職場、経営者が独善的等々だ。


最近では、俳優・小池徹平さんが主演した映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」(2009年11月公開)によって、言葉自体も広く知られるようになった。



グーグルで「ブラック企業」と検索すると、今や300万件以上がヒットする。


検索結果の上位には、ブラック企業就職偏差値なるものも出てくる。具体的な社名が明記され、仕事が激務であることや体育会体質の社内風土ノルマ主義飛び込み営業の有無などがもっともらしく書き込まれている。


ただし、真偽は分からないし、中傷と思えるものもある。


また、働いていた人による書き込みもある。



掲示板サイトでは、ある人材サービス企業の項目に次のように書き込まれている。


訪問販売のような仕事で一日平均200件訪問していた上、土日祝日は必ず出勤。

達成不可能と思われるノルマが課せられたこともあった。


この会社では同期入社で辞める人も多いらしく、「入社は辞めた方がよい。」とまで書かれている。


ところが、入社4年目という別の人は、「個人の努力やチャンス次第では成長できる。」としている。


一方、ある飲食店の場合は、過労で倒れた入社4ヶ月目の社員がいた。

寝る時間がないので閉店後、禁止されている店舗での寝泊まりをする人もいたという話が出ている。




就活中のある大学3年生は、「ネット書き込みが、どうしても気になってしまう。」と語っている。


一番気になるのが過労の話だ。


掲示板に書かれていることは、火のないところに煙はたたないと考えられるので、参考にできる部分もある。


それが事実でなくても先入観をもってしまうのは仕方がないだろう。



就活には絶対失敗したくないなら、情報収集が重要だ。


経済状況を考えると入社後、自分が転職するとは考えにくい。



良い噂を聞かない会社の場合、ネットでさらに検索して情報を収集して確認するべきだ。


加えて、大学のOBに接触することもあるが、それだけでは判断ができないので、会社の体質や雰囲気をつかむために参考にする方がいい。



一方、駒澤大学キャリアセンターも、ネット書き込みについては「学生から相談を受けることがある。離職率や労働条件を心配しているようです」と話す。

必要以上に不安がる学生には、話半分に受け取るようにと諭すこともあるそうだ。


なぜなら、悪意のある書き込みがあった場合、人によっては必要以上に深刻にとってしまう場合もあるからだ。


ネットの書き込みは、いくつかある情報の中の一つの参考にとどめておくべきである。