報道によれば、ID 窃盗および詐欺の被害にあった米国成人は2009年に1110万人を超え、オンライン ハッキングおよびフィッシングの大規模化と巧妙化を示す記録的な数字となったことが、金融サービスの調査会社 Javelin Strategy & Research が10日に公開した報告書『2010 Identity Fraud Survey Report』(2010年版 ID 詐欺に関する調査報告) で明らかになった。
同報告書によれば、ID 窃盗の件数は前年から12%急増しており、消費者および企業の被害額は前年比12.5%増の540億ドルに達したという。
セキュリティの専門家らは、この数値が2010年および今後10年にわたり増加の一途をたどると見込んでいる。
ただし、明るい材料として、こうした犯罪の発生時における消費者および企業の対応は改善していると、Javelin は報告書で述べている。
Javelin によれば、2009年において詐欺の解決に要した平均時間は前年から30%短縮し、約21時間となった。
また、ID 窃盗被害者のうち半数近くが被害届を出しているという。
こうした警戒感の高まりに加え、地方および連邦レベルでサイバー犯罪分野に対する資金調達や訓練が拡大していることから、2009年においてサイバー犯罪をめぐる逮捕および有罪判決の報告件数は倍増し、起訴件数は3倍に増加した。
Javelin の創設者でプレジデントを務める James Van Dyke 氏は、報告書の中で「消費者が技術の力を借りたり、金融機関や政府機関、専門サービスと連携して、詐欺の監視や検出、防止により積極的になっている点は朗報と言えるだろう。」と、述べている。
米連邦捜査局 (FBI) が10月、「Operation Phish Phry」(フィッシュフライ作戦) というサイバー犯罪を対象とした捜査により、フィッシング詐欺容疑者33名を一斉検挙したような大規模な訴追は極めて稀な例かもしれない。
だが、司法当局が管轄外の機関と協力して ID 窃盗者を裁く意思を示したこうした動きは、サイバー犯罪者らに対する警告として機能している。