JR東日本やホンダなど大企業のWebサイトが次々に被害にあった「Gumblar(ガンブラー)ウイルス」は、国内で少なくとも3500サイトで感染が確認されている。


警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは、不正アクセス禁止法違反容疑で捜査を始めた。


専門家らからは「企業Webサイトの管理用IDなどを盗み出して売りさばくのが目的では?」との指摘もあがっている。


Gumblar(ガンブラー)ウイルス」による被害は、クラッカー(=犯罪目的でパソコンを使用する者)がコンピュータ・ウイルスなどを使って企業のWebサイト管理用IDとパスワードを入手し、そのWebサイトを改竄(かいざん)することから始まる。


改竄されたWebサイトは閲覧したユーザーを別の不正なWebサイトに誘導し、さまざまなウイルスをパソコンに勝手にダウンロードさせてしまう。

この場合、不正なWebサイトが、ディスプレー上に表示されないのも特徴だ。



セキュリティー・ベンダー「セキュアブレイン」(東京)によると、これまでに確認された同ウイルスの多くは、1Webサイト管理用IDとパスワードを外部に流出させるタイプ。感染者が別のHPの管理者の場合、連鎖的にウイルス被害を拡大させる。

2ウイルス対策ソフトを更新させないタイプ。


などが確認されている。


セキュリティー・ベンダー「カスペルスキーラブスジャパン」(同)は、国内で3500のWebサイトで改竄を確認している。


JR東日本で約5万人、ホンダで約5千人、ハウス食品では約1万2千人に感染の可能性があるという。



最近、この「Gumblar(ガンブラー)ウイルス」の名前をよくニュースでも耳にすると思うが、実は、「Gumblar(ガンブラー)ウイルス」の感染拡大は、今回で2度目である。


国内では一昨年11月ごろに確認され始め、昨年5月に流行のピークを迎えたが、「Gumblar(ガンブラー)ウイルス」をダウンロードさせるWebサイトを閉鎖させたことなどから一時沈静化した。


そして昨年11月以降、再び感染が広がった。


再拡大した原因について、経済産業省所管の独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」などは「複数回にわたり別のWebサイトへ誘導している」ことや、改竄手法の複雑化を挙げている。



昨年12月18日から19日にかけてWebサイト改竄が確認されたホンダは「Webサイトの一部を制作した外部のパソコンが、Gumblar(ガンブラー)ウイルスに感染したことによりWebサイト管理用パスワードが流出し、改竄されたようだ」と話している。


セキュリティ・ベンダーのカスペルスキーは「以前の愉快犯的な犯行と違い、金銭目的犯罪集団化の傾向があり、ウイルスを制作する係ウイルスを使ってIDを盗む係IDを換金する係など分業化も進んでいる」と指摘している。



情報処理推進機構(IPA)では「不正なWebサイトからダウンロードされるコンピュータ・ウイルスは今後、個人の銀行のパスワードを盗むような、より悪質なものに変わる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。


感染防止策について情報処理推進機構(IPA)は「ウイルス対策ソフトだけでなく、パソコンソフトをすべて最新のものにすることが第一」としている。



現実問題として、筆者(FireBlue)が授業を行った(←FireBlueの職業はフリーのPCインストラクター)企業や個人の8割が、これらのコンピュータ・ウイルスの脅威について、

自分には関係ない。オンラインバンキングもしないし、ネットショッピングも利用しない。別にコンピュータ・ウイルスに感染したって盗られるようなものは何もない。ガチガチに防御するから余計に侵入されるんだ。」と間違った考え方をしていた。

また、このようなトンチンカンな理論を展開する愚か者がサーバー管理者をしていたり、その愚か者の理論を信じて疑わないパソコン初心者が取り巻いており、「セキュリティ対策ソフトを入れたら、パソコンの動作が遅い。だから、入れん!」などと言う、これまたトンチンカンな考え方をする企業経営者がいた(←筆者は2時間以上も掛けて説教した)。


筆者から言わせれば、「セキュリティを疎かにするような愚か者はパソコンを使用するな!!」である。