マイクロソフトが無料で利用できるセキュリティ対策ソフト『Microsoft Security Essentials』を公開しており、もう既に利用している人も多いのではないだろうか。
動作も軽快で、PCへの負担も少なく、設定画面もシンプルで分かりやすい。
また、AV-Test.org(アンチマルウェアテストグループ)の検証テストによれば、膨大なマルウェアの約98%を検出するという優秀な結果を出したということも報道されていた。
ただ、この『Microsoft Security Essentials』にPCにおける全てのセキュリティを任せっきりにしていいかと言えば、そうではない。
なぜなら、コンピュータ・ウイルスとスパイウェアへの対策に特化しているので、市販されている総合セキュリティソフトのように迷惑メールやフィッシング詐欺への防御機能は搭載していない。
これは『Microsoft Security Essentials』がWindows7での利用を前提としているからだ。
Windows7を既に使用している人は知ってと思うが、Windows7にはOutlook ExpressやWindowsメールのようなメールソフトが初めから搭載されていない。
Windows7では、メールソフトを別に用意するか、Windows Liveメールを利用するしかない。
つまり、メールソフトの無い状態でのセキュリティ対策ソフトが『Microsoft Security Essentials』なのである。
だから、Windows7でWindows Liveメール以外のメールソフトを使用した場合、『Microsoft Security Essentials』の対象から外れている(メールをリアルタイムでスキャンしない)ため、迷惑メールやウイルスに感染したメール等は素通りしてしまう(これを防ぐにはメールソフト側でセキュリティレベルの設定を行うか、ブラウザ側で設定するしかない)。
おまけに、『Microsoft Security Essentials』では検出したコンピュータ・ウイルスやスパイウェアを削除する時間が(市販されている総合セキュリティ対策ソフトと比べて)、長い時間がかかる。
さらに、『Microsoft Security Essentials』は不正侵入を防ぐファイヤーウォール機能は搭載しておらず、Windowsに搭載されているファイヤーウォールを利用する事になっている。
知っての通り、Windowsに搭載されているファイヤーウォールは、お世辞にも高機能とは言えない。
巧妙化し、悪質化するマルウェア(=不正プログラム)の感染や、不正侵入を本気で防ぎたいのなら、市販されている大手セキュリティ・ベンダー製の総合セキュリティ対策ソフトを購入し、PCにインストールすべきだ。
費用はかかるが、安心を買うと思えば安いはずだ。