今流行のネットブック(=値段も手頃で、持ち運んで使うモバイル用途にピッタリのノート型パソコン。Webサイトの閲覧、電子メール等の基本的なインターネット上のサービスを利用することを主な用途としている)。
確かに便利なのだが、気になることがある。
その気になることとは、ネットブックを使うユーザーの多くがヘビー・ユーザー(←長年PCを使用しており、操作について熟知しているパソコンユーザー)ではなく、初心者であり、セキュリティに無頓着ということだ。
ネットブックは、Microsoftの制限もあって高性能なCPU(=中央演算処理装置。パソコンの頭脳にあたる)を搭載することや、OS(=基本ソフト)にWindows Vistaを使用することは出来ない(そ
れ故、OSはWindows XPが搭載され、液晶画面の大きさは5~13インチ程度に限られ、拡張性は低い)。
ところが、このネットブックは値段がかなり低く設定されているので、またたく間にヒット商品となった。
だが、それと同時に問題視されているのが、ネットブックにおけるセキュリティだ。
ネットブックを使う多くのユーザーが、ウイルス対策ソフトすらインストールせずにインターネットに接続しているということが判明している。
大抵、そういうユーザーの多くが「ウイルス対策ソフトをネットブックに入れたら、動作が遅くなったから(ウイルス対策ソフトを)削除して使っている。」とか「Microsoft Officeを(ネットブックには)入れていないから、ウイルスなんて感染しないでしょ。」等のふざけた言い分を展開している。
何のセキュリティ対策もせずにパソコンをインターネットに接続した場合、そのパソコンに搭載されているOSがMac OSだろうと、Windowsだろうと、Linuxだろうと関係なく感染する。
また、Microsoft Officeをパソコンにインストールしていなくてもコンピュータ・ウイルスに感染する。
インターネットに存在する脅威はコンピュータ・ウイルスだけでなく、スパイウェア(=ユーザーが知らないうちにパソコンに侵入し、パソコン内のデータを盗み取る不正プログラム)、アドウェア(=ポップアップ広告表示ソフト、パソコンの動作を低下させるプログラム)、ステルスウェア(=セキュリティソフトの監視の目をくぐりぬけて活動するプログラム)等の不正プログラムが存在している。
これら不正プログラムは、インターネット上に既にばらまかれている状態であるので、使用しているパソコンに何らセキュリティ対策もせずにインターネットに接続すると感染する。
実際、俺が(某パソコン教室の)雇われPCインストラクターだった頃、生徒の1人(←年輩の方で、とある会社の社長)が「パソコンがウイルスに感染して、おかしくなってしまったので直して欲しい。」と1台のノートパソコンを持ってきたのだが、見てみれば、デスクトップ画面はアダルト写真で埋め尽くされ、常にポップアップ広告が点滅を繰り返し、キーボードからの操作を一切受け付けないという状態であり、ウイルス駆除ツールすらインストールできないという無残なものだった。
そして、さらに最悪な事に「そのパソコンのリカバリーCDやマニュアル、保証書といった類いのものは、もう必要ないと思って全て捨ててしまっている。」と言うので、こちらとしては何の打つ手もなかった。
それで、そのパソコンのメーカーへの修理を依頼することになったわけだが、その時にムカッときたのが「こんなモンも直せなくて、よくPCインストラクターをやっているな!」という件の生徒の言い草だった。
自分の落ち度を棚に上げ、こちらがセキュリティの重要さを説いても何ら耳を貸さなかったにもかかわらず、いざ、コンピュータウイルスに感染したとなるとこちらを頼ってきて、挙句の果てはこの言い草(「こんなモンも直せなくて、よくPCインストラクターをやっているな!」)である。
我慢して話を聞けば、件の生徒は(自分が経営している)職場で、自分が使っているパソコンを職場のネットワークに接続してトラブルを起こした事があるとのことだった。
話から推測すれば、ウイルスに感染したパソコンを社内ネットワークに接続したがために、社内のサーバーをダウンさせる結果を招いてしまったということだと思う。
その話を聞いて「その会社と契約している企業は何らかの被害を受けているんじゃないのか?」と疑問に思ったが、相手は“唯我独尊タイプ”である。
俺はその生徒と話をするのさえ馬鹿馬鹿しくなった。
まあ、授業態度も不真面目極まりない人物(←「自分より年下のPCインストラクターなどの言うことが聞けるか!」という態度と言動をするタイプ)だっただけに一筋縄ではいかない。
俺はセキュリティ対策マニュアルを自作して件の生徒に渡し、もう一度噛み砕いて説明し納得はさせた。
が、俺の気分は晴れなかった。
「何故、セキュリティ対策せずにインターネットに接続したらパソコンがコンピュータ・ウイルスに感染するというのを理解できない? 自分のパソコンで体験した事じゃないか?」と、俺は驚きを隠せなかった。
現実にこういう人物が存在するのだ。
インターネットは世界中と繋がっているのだ。
つまり、どんな人物がパソコンを使い、インターネットを利用しているのか分からない。
安全を怠れば、危険に晒されることは現実社会と同じである。
それをもっと注意すべきだ。