優美な三日月を思わせる曲線と健康的なオレンジ色を持つ柿の種のちょっぴり刺激的な辛味と、どこぞのゆるキャラの如き愛らしさを纏ったピーナッツの程よい塩味と仄かな甘味。
その二つが作り出す完璧な調和は、正にこの地上に現れた美のイデアそのものと言っても過言ではありません。
天上に住まうという神々も、きっとこの真の芸術とも言うべき食べ物を主食としていることでしょう。
思えば僕は、物心ついた時から柿ピーと共にありました。
子供だった僕は、まだピーの良さに気づくことが出来ず、柿ばかりを口にし、あまつさえ柿の種100%などという今にして思えば邪道でしかない商品にまで手を出すという愚を犯したりもしましたが、ある時ピーの持つ底知れない魅力を知ってからは、ピーなしの柿など考えることすら出来なくなりました。
それ以来、僕と柿ピーは、いつも一緒でした。まるで幼馴染のように。
しかし、そんな柿ピーに対する僕の感情は、共に過ごす時を重ねていくうちに、少しずつ形を変えていきました。
柿ピーは僕にとって、ただの幼馴染みではなくなって言ったのです。
僕の柿ピーに対する感情に名前をつけるならば、それは……『恋』
そう、僕は柿ピーを愛してしまったのです。出来ることなら結婚したい。
そして一生、養ってもらいたい……