ここんとこめっきり読書意欲が沸かず、購入した何冊かは積み上げたまま。
原因は明確だ。老眼の進行で電車内や家の中でメガネ無しでは本の文字が読み辛い。
しかし今日以前購入した携帯ケース入り老眼鏡をデビューさせた。
電車内の読書の醍醐味がやっと蘇った!
元三菱銀行行員の池井戸氏が直木賞を受賞され、
師匠の中川さんと同じ出身の作家を知る。
銀行を舞台にした経済小説では故清水一行氏の著作は
ほとんど読破したファンを自負する。
この下町ロケットも中小企業と金融機関の微妙な関係を前提に、
特許裁判から特許権の売買、使用権、製品供給と
生々しい経済活動が克明に描かれている。
特許は取得するだけでは意味が無く、
如何にビジネスに活用できるかが
死蔵ではない知的所有権だと以前通った特許事務所の先生が常に言っていた。
時に係争に負けてもビジネスで勝てばいいのだ。
これも口癖のように言われていた。
本作品は特許裁判そのものは劇的な勝利を収めるが、
それによって社内の緊張が緩み、思いもかけない獅子身中の虫も出現し、
未曾有の危機がやってくる。
仕事への夢は誰もが抱くもの。
まして社長の夢とは途方もない世界を見続けている場合もある。
社員と社長の夢が合致し、一致団結して進む事は素晴らしいが、
まさに夢に終わる場合がほとんど。
しかし強固な敵(ライバルとも言い換えられるが)の出現は、
必然的に一致団結を生み出す。
企業にとって仮想敵社もしくは実際のライバル会社を
常に射程に捕える事は重要な戦略だ。
願わくば正々堂々、威風堂々と喝破し勝ち進みたいが本音である。
本作品には何度も身震いする瞬間に出会える。
働く人が読めばその瞬間は共有できる。
直木賞、実に現実的な作品を選んだものだと嬉しくなった。
この作品を読んで勇気を絞り出して明日から頑張ろうと思える人は大丈夫。
猛暑も今日までらしい。私は明日も頑張る!