正しいものは②と③です!


1(誤)「登記が完了したとき」ではなく「不履行があったとき」は、その後に生じた抵当権不動産の果実にも抵当権の効力が及びます(民371)。「設定契約時から」でもなければ「金銭を貸し付けたときから」でもない。


2(正)抵当権の目的となるのは不動産(民369条1項)、地上権、永小作権(民369条2項)のみなので、対抗力を備えていたとしても賃借権は抵当権の目的にはなりません。永小作権の登記なんて見たことありませんが、抵当権の目的にはなります。


3(正)ちょっと引っかけ。原則は転貸賃料債権には物上代位できません(最判平12.4.14)。「抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合」に例外的に転貸賃料債権にも物上代位できます。例外の要件は記述式でも出題されそうですが、あくまで原則があっての例外。


4(誤)単なる不法占有者であれば、客観的要件(抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難な状態)で足ります(最大判平11.11.24)。抵当権に基づく妨害排除請求にあたって「競売手続を妨害する目的」(主観的要件)が要求されるのは、占有権限の設定を受けている者に対する場合です(最判平17.3.10)。一連の判例は占有屋対策として画期的ですね。


5(誤)土地と建物の所有者が同一であればよく、登記名義が別々でも法定地上権は成立します(最判昭48.9.18)。土地と建物ともにBに所有権があるものの、建物の登記名義は前所有者のAのままだった…、といった場合でも法定地上権は成立しますが、トラブルの元になるので登記はしておいた方が良いですね。


〈一言〉

抵当権者を妨害するためにパンチパーマで頬に傷があり小指がない人を抵当不動産に居座らせる、なんてことが本当にあったらしい(こういう人がいると競売でも買い手がつかないので、抵当権を実行できず抵当権者も困ってしまう)。