エデンとはキリスト教でいうところの信心深きものがいくところである
父が死んで相続税が払えない長男は学校をやめることになった
都内のとある豪邸に住んでいた。いい土地だと、相続税も莫大なものとなる
バブルが崩壊してから、金だけで国をつくろうとした金の国は消滅していた
金の国が残してくれるものは相続税という借金のみだった

かつては不動産関係の仕事で栄華をほこっていたものの、当然のごとく不景気となって人々から恨みの目でみられる
都内の一等地はエデンではない
金で造られた土地に思い出を語る資格がない
金は金しか語れない
死人が死人のことしか語れないように・・・、だから税金でとりあげられる

懇意にしていた幼馴染の彼女とも別れた
エデンにすめない長男にはいらない彼女だからだ
「いつまでも友達でいてね」
つらい一言だったが、長男にはそれでも励みになった

次に長男がそのエデンにやってきたのはコンビニのアルバイトだった
追われた土地に未練なんてあるのかと、資産家は嘲笑しつつも、世の中に復讐する凶児となるかをみきわめようとしていたのだ
コンビニのオーナーの娘と結婚がきまって、朝に一等地の日の昇る方からトラックで寒い日とわずに物販を運び込むのだ
資産家でもコンビニは利用する
コンビニのオーナーは長男の親が不動産だったときに世話になった人物で、一等地にコンビニをたてることでもうけたという、駅のキヨスクみたいな人だった

何を思ってエデンにコンビニの安い品物をはこんでいたのかはわからない
資産家になる前は誰でも一人の商人だった
だから気にしていなかったという

映画のエデンの東というのはジェームス・ディーンの出世作なわけだが、父親の愛をえようという息子の葛藤が一等地エデンから金がなくても愛をえたいという長男にかぶって、こういうタイトルにさせてもらったのです

その長男はキャバレー帰りの飲酒運転の車に追突されて亡くなったそうです
新宿のオフィス街のように、夜になると人気がなくなるのでキャバレー帰りの資産家が高級車にのって運転するのです
高級車というぐらいだから、エンジン馬力があるわけで、公道に適しているとは限らない、重いのでハンドルミス一撃で相手をほおむりさってしまうのだそうです

コンビニにトラックから降りて、資産家のバラまく大量のゴミを集積所にまでもっていくところでした
ゴミ袋が重くて、かわす機会がなかったようです
高級車の重さとスピードとあいまって致命傷でした
四時間後に病院で頭部の内出血でなくなったとかききました

事件はなぜかゴミの不法投棄の問題になって、ゴミをひろっていた長男が駐車場の前にいたから不法侵入の形をとりたいと弁護士がいろいろとなんくせつけてきたそうです
ゴミ袋の中には、なんと資産家がすてたブランドものの服があったので没落資産家の長男を服泥棒にしたてあげようとしたのです

何をいっているかと思ったら、資産家がサイズがあわないとか、ホストクラブでホストに服もらってもらえなかったから洋服の値段プレートがついた新品状態でゴミ袋にいれてすててあったものがあったとかで、結局ゴミ拾いの長男を泥棒あつかいしてひき逃げをごまかそうとしたのです

結局、飲酒運転がおおきくとられたものの納得がいく判決はなかったそうです

それでも、故郷は金を払えなくておわれたけど、どこぞの宗教の神がきっとエデンに拾ってくれる
第二の故郷にいちはやくいけたことで、これでよかったのだろうとコンビニの店長は言っていました
事件のあとにそのコンビニの朝に行ってみると、ここらだけ豪邸の庭が広いので空気が透明で朝焼けがとてもきれいでした
エデンの東から昇る朝日、そう都市伝説としてのこるのです
朝日とは関係なく、経済恐慌は以後も加速していったわけですが・・・。

どうせ稼ぐなら天国の一等地に投資したいですよね。とられるような土地はいらないです
みんなの故郷を覚えておける心のスペースを用意したいと思うこのごろです